Ep.5 つまり忘れるってことでよろしいか? ページ5
____とか思ってたさっきの私。殴っていいか。殴っていいよな。
数メートル先で、この前見た光景が再演されている。
なんとかギリギリ建物の陰に隠れた私は、できる限り気配を消しながらその声を聞く。
聞きたくなかったけど。
私が聞いてしまうことによって私の行動が変われば、別の何かが変わる可能性も高くなる。
そうすれば歪みはどんどん大きくなり、やがて……とか、絶対に御免だ。
一人で顔を顰めているうちに挨拶は終わったらしく、話は「本題」に入っていた。
「約束は果たしたよ、君たちを助けられる人___『岩神の仙体が七星によって隠された』という難題を解決してくれる人を見つけた。」
「公子」が明るい声音で言う。
待って。こんな道のど真ん中でほぼ国家機密みたいな事柄の話をするんじゃない。
千岩軍だってその辺にいるのに何でこんなに軽いテンションで国家機密になりかけてる事柄を話すんだ。
ストーリー進行上ここで何かが起こることはまずないだろうけれど、普通に心臓に悪い。
そのあと数回会話を重ねた旅人さんと「公子」が琉璃亭に入っていく。
それを確認した私は、その場に座り込んだ。
私は知っている。
その「解決してくれる人」が誰なのかも、その正体も、その理由も。
知っているから、逃げることを選んだ。
「鍾離様……」
あの扉の向こうに、あの方がいる。
悲しいのか、うれしいのか。
ただ、逃げなければ。と思った。
ストーリー通りであれば、数刻もせずに出てくるだろう。
その時に見つかってしまっては意味がない。
「ふぅ……」
深呼吸をして立ち上がる。
本のことはひとまず諦めよう。
聞いてしまったことは…忘れるしかない。
弁えろ。あの方を邪魔するなんて絶対に許されない。
大丈夫。…私とあの方のこれからの道が交わることなんてないのだから。
Ep.6 つまり時間制限ってことでよろしいか?→←Ep.4 つまりギリギリセーフってことでよろしいか?
1307人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「原神」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブックマーク@りんごおれ(プロフ) - ものすごく最高です応援しています! (2023年3月4日 17時) (レス) id: 30dece2dde (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ありがとうございます……! 大遅刻更新ですが、良ければこれからもどうぞよろしくお願いいたします……! (2022年12月23日 22時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - とても面白い作品ですね!!楽しく読ませてもらっています。更新楽しみにしてますね!!! (2022年12月2日 22時) (レス) id: 7981f63c4d (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - 有害物質さん» 読んで頂きありがとうございます! 更新頻度は遅くなってしまっていますが、これからも楽しんでいただけたら嬉しいです……! (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ゆいピさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます……! もうなんと言いますかどんどん無料で読んで頂ければ嬉しいですといいますか……! 良ければこれからもどうぞよろしくお願い致します…!! (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しろぐみ | 作成日時:2022年3月30日 16時