Ep.20 つまり配置換えはナシってことでよろしいか？ ページ21
どれだけ自分の夢に精神ダメージを食らったところで、朝は来るし日は昇ってしまう。
「行きたくなぁ〜い…」と呟いてはみたものの仕事自体は好きなので、行かないなんて選択肢はなかった。
うん。仕事には行きたいけど、店にいたくない。
「これはもうどうしたらいいんでしょうね…わからないよ…。」
いつも通りテーブルを拭きながら、乾いた笑いを零す。
それとほぼ同時に後ろから肩を叩かれた。
「昨日は大丈夫だった？ …例の持病の関係で厨房の彼女と交代したって聞いたけど…。……前々から悩んでたことに、何か関係あるのかな。」
「…え？」
おはようございます店長、本日も冴えてますね？
＿＿＿そんな軽口すら言えないほど、動揺してしまった。
「前々から悩んでたことって…」
「内容まではわからないけど…何か悩んでいたでしょう？」
…待って。私ってそんなにわかりやすいのだろうか。
いや、店長が鋭いだけ…？
わからないけど
当たっては、いる。
……実を言うと、また「公子」があの方を連れて来店するんじゃないかと気が気じゃない。
あんな恐怖体験二度と御免だ。心臓に悪すぎる。
もう本当に業務交代をお願いしようかな…とか思い始めるくらいには二度と接客したくない。
「…あの、私このまま厨房担当に、」
「君が本当にそうしたいならそれでもいいんだけれど、君と話す時間が楽しいからっていう理由でうちに来てくださっているお客様も多いのは事実だよ。」
「……」
「あぁ、ええと…だから接客しろっていう話じゃなくて、君も…お客様と話すのは好きでしょう？ だから本当にそれでいいのか気になって。」
＿＿＿驚いた。
誰にも、一度も、話したことがなかったのに。
……本当に、周りの人間のことをよく見ている人だ。
「…そうですね。確かに、店長の言う通りです。」
私はこの仕事が好きだ。
来てくださったお客様とお話して、色々なことを聞くのが好きだ。
…もしかしたらそれは、あの方が話してくださったたくさんのことが記憶の中に残っているからかもしれないが。
私の目的は「あの方の視界に入らないこと」だけれど、あの方がここに来たのだって、もう二度とない機会が偶然あの時訪れただけだったのかもしれない。
普通に考えて私みたいな一般市民の前にあの方が現れる確率の方が低いに決まっている。
「それじゃあ…」
「はい、接客のままでお願いします。」
店長は「自分でそう決めたなら」と笑って、厨房の方へ歩いて行った。
幕間 脇役達は何を知る。→←Ep.19 つまり回想の続きってことでよろしいか？
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ブックマーク＠りんごおれ(プロフ) - ものすごく最高です応援しています！ (2023年3月4日 17時) (
レス) id: 30dece2dde (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ありがとうございます……！ 大遅刻更新ですが、良ければこれからもどうぞよろしくお願いいたします……！ (2022年12月23日 22時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - とても面白い作品ですね！！楽しく読ませてもらっています。更新楽しみにしてますね！！！ (2022年12月2日 22時) (レス) id: 7981f63c4d (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - 有害物質さん» 読んで頂きありがとうございます！ 更新頻度は遅くなってしまっていますが、これからも楽しんでいただけたら嬉しいです……！ (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ゆいﾋﾟさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます……！ もうなんと言いますかどんどん無料で読んで頂ければ嬉しいですといいますか……！ 良ければこれからもどうぞよろしくお願い致します…！！ (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろぐみ | 作成日時：2022年3月30日 16時
