第15話 ページ17
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カカシside
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疲れた体に鞭を打ち、報告を終えて家に着く
今日の任務はひどい現場で……
なるべく感情移入しないよう心を無にするが、今回はいたたまれない状況だった
ドアを開けると真っ暗な部屋に一つの気配
ただ部屋は真っ暗ながら月の光が差し込み、ぼんやりとその気配を包み込んでいた
「勝手に部屋に入って、こんな真っ暗な中で何やってんの?」
スイッチを入れるとパッと明るくなり、昨日ぶりのかわいい顔が机に頬杖ついているのがよく見える
『ちょっと考え事してた。それに、勝手に入っていいって言って合鍵渡したのは誰?』
「まあ、真っ暗な部屋で待ってろとは言ってないでしょ」
せっかく告白まがいに合鍵を渡したのに、この鈍感ちゃんは俺を親戚のおじさんぐらいにしか見てないみたいだ
想像していたムフフな同居生活にはまだいたっていない!
「電気ぐらいつけてよってコト!で、何で悩んでんの?」
『後で話す、夜ご飯作るから先お風呂入ってて』
そう言ってキッチンへ向かうとスカスカなはずの冷蔵庫を漁る
「何もないでしょ?それに急にご飯とかどうしたのよ」
『買ってきたから大丈夫。話、長くなりそうだから』
「あー、話す気満々だったってことね、心配して損した」
ザクザクと野菜を切る音が響く中、そっとAを後ろから抱きしめる
手を腰あたりに回し、体を密着させるが嫌がるようなことはなかった。むしろ何もないかのように一定のリズムを包丁は刻んでいた
「Aはいい子だね」
『どうして?』
「溜め込まずに俺に相談してくれるから」
『ふふ、そんな事でいい子になれるなんてカカシは優しいね』
Aのほのかなシャンプーの香りが鼻をかすめる
帰る家には灯がついていて、待っててくれる人がいる
ずっとこうしていたいと思うようなそんな空間に包まれていた
まあ今回は灯はついてなかったけどね
『カカシ、血くさいよ』
「え、ごめん」
Aから一定の距離をとり、腕の匂いを嗅ぐが、鼻が麻痺しているのか全くわからない
『嘘だよ。早くお風呂入ってきて!』
いたずら顔のAに少し陰りが見えた
俺は大人しくお風呂に向かい、これからの話の心構えをした
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かな(プロフ) - とても好きな世界線です…‼︎応援しています! (2022年4月14日 7時) (レス) @page4 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナツ | 作成日時:2020年10月16日 18時