お嬢様な君と執事な俺 (ページ29)

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使用人な俺。ページ29

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あの後二人の結婚が決まってすぐ、一番に俺に挨拶に来てくれた二人の顔は未だに忘れられない。

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「優太！！！」

『うぉ！？ちょ、なんだよ…ッ！』

バンっと思いっきり扉を開けられ自室に入り込んできたのは廉。

いきなりのことで自室でだらだらとしてた俺は呆気に取られたけど、その後ろに居る女の人を見るなり急いで身なりを整える。

「こら廉、せめてノックくらい…！
あ、岸くん。その、いきなりごめんなさい」

お邪魔します、と小さく挨拶をしてくれるその人にやっぱりお嬢様なだけあって礼儀はしっかりとしてるなと思わされる

『あ！いえ！とんでもないっ！！
こんな汚い部屋でよければ是非！！！』

「なあ優太、やっとやで。
俺ら、やっと結婚出来んねん」

あたふたする俺に目をキラキラ輝かせながら報告してくれる廉。

『…まじ？やったじゃん廉ッ！！！
幸せになれよッッ！！』

俺は今まで苦労してきたことも全部知ってるから。
だからこそ、その報告はとても嬉しくて目が潤む。

「あのね、岸くんのおかげなの」

『へ？俺のっすか？』

「あの時、岸くんが私を部屋から出してくれたから今があるの」

あの時は確か…もう必死で。

廉が行っちまう前に何としてでもって思って、未だ広すぎて覚えきれていない屋敷の中を駆け巡り漸く見つけたお嬢様の部屋の扉を開けたんだっけ。

「ありがとうな優太、ほんまにありがとう」

『俺はお前らに幸せになって貰いたくてさ、俺に出来ることって言えばあれくらいしかなかったし』

なんだか照れ臭くなって頭を掻いた。

＊＊＊

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