お嬢様な君と執事な俺 (ページ22)

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22. ページ22

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｢A様…！！｣

焦ったように名前を呼ばれゆっくりと顔を上げれば、そこには見知らぬ顔。

『…あなた、は？』

｢あぁ！！！さっせん！！初めましてっすよね！｣

｢あの俺、岸優太って言います！廉の…永瀬の友達っていうか。あ、一応ここで働かせてもらっている使用人の一人で！！｣

きし、ゆうた…？

目の前であたふたしながら私の様子を伺う彼の名前を、聞いたことがある気がした。

＊＊＊

｢ゆうたがなあ、おもろいねん｣

『ゆうた？』

｢そー、最近仲良くなってん。新入りの奴でな？｣

｢今日もやらかしてこっぴどく怒られとったわ｣

『へえ、そうなんだ』

｢俺結構好きやねんあいつ。からかいがいがあるから。｣

＊＊＊

『…もしかして、"ゆうた"？』

｢へ？｣

きょとん顔をする彼に慌てて言葉を続ける

『あ、えと違うの。…廉が、よく話してたから
その人なのかな、って。』

するとにこっと笑った彼は言う。

｢あ、はい！その"ゆうた''で間違いないです！

じゃなくて！！そんなことより早く！
早く廉のところへ行ってあげてくださいッ！！｣

彼は唯一、私たちの関係を知っていたらしく、そんな中廉が遠くへ言ってしまうことを本人から聞き、居てもたってもいられなくてわざわざここへ来てくれたらしい。

これは、最後のチャンスなのかもしれない。

このまま父に従って紫耀くんの傍に居るか
自分の気持ちに正直になって廉と生きるのか。

そんなの。

そんなの、答えは決まってる。

『あの、岸くん！ありがとうございますっ！！』

私はもう、揺るがない。
絶対に。貴方の傍に居たいから。

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