お嬢様な君と執事な俺 (ページ16)

今日:1 hit、昨日:18 hit、合計:115,604 hit

16. ページ16

.

その夜、私は部屋をこっそり抜け出し廉の部屋を目指す。

あと少しで廉の部屋にたどり着く道中、コツコツとこちらに近付く足音がする

ここで見つかったら廉の所に行けない
そんなの嫌…ッ

必死で逃げようとするも追いつかれてしまい、後ろから思いっきり腕を引っ張られる

『…っ』

そのまま部屋へと引きずり込まれ後ろを振り返ればそこには廉が居た

「何してんねん」

『廉、に…会いたくて』

「アホ、見つかったらどうすんねん」

もう二度と会えなくなってもいいん？
たまに突拍子もないことを仕出かすから気が抜けへんわ

そう言いつつも愛しそうな目で私を見るから、廉はずるい。

『廉こそ自室謹慎なのに出てもいいの？』

「あー、見つからんかったらええねん」

少し悪い顔して笑う廉

ああ、やっぱり彼が好きだ。

『ねえ、私明日ちゃんと話すよ』

紫耀くんにちゃんと話して婚約の件、なかったことにしてもらう。

にこりと微笑んだ彼は私を抱き締め、
「あんまりあいつのこと苦しめんといてあげてな」
と言った。

｢ほら、はよ部屋戻り。｣

抱き締めた身体を離し、私の背中を押し扉の前にやる

『廉、』

｢A｣

じーっと見つめられ目を逸らす事が出来ない

｢また明日な｣

そう言っていつものように大好きな笑顔を向けられるから、頷いて部屋を後にするしかなかった。

.