9 真実 ページ9
「…私に反逆心を持っていたか?」
蛇王様がまず聞いたのはそれだった。さっきは接点がない・恨む理由がない…そう答えたけれど。
きっと、蛇王様の欲しい回答は、それじゃなくて…。
「いいえ。貴方は…貴方は、半妖の希望です。
確かに、貴方が半妖だと聞いた時は…半妖が妖魔界の王だなんて、反乱でも起きてしまうんじゃないか…と考えたこともありました。
──ですが、貴方は…私のような「醜い半妖」とは違います。強く、逞しく、そして美しい。
そんな人だから、反乱が起きたとしてもこの人ならば大丈夫なのだろうと…そう思いました。
──それと同時に、奇っ怪な容姿ではない貴方を羨んだことも事実です。」
嘘偽りなどない。さっきは自分の弁護に必死で、こんなことは答えられなかった。
特に最後のものなんて、誤解されかねない。──恨んでいたなんてとんでもない。むしろ、羨ましかっただけなのだ。
「…奇っ怪……少し、触れてもいいか?」
「…はい。」
──私は自分を奇っ怪な半妖、と言ったけれど。
パッと見は私も分からない。…だからこそ、彼はそう言ったのだろう。
人より少し、低い温度が頬に触れる。サラり、と冷たい手は、私の前髪をずらした。──その下にあるのは、奇っ怪で珍妙でおぞましい、氷の華。
「気持ち悪いでしょう。私のこの華は、何度溶かそうとしても枯れなかったの。熱湯をかけたって、温泉に飛び込んだって、マグマに焼かれたって。
それでも、それを知らない人達は…私のこの華を見ただけで…私を軽蔑する。
お父さんだってそう。新しい奥さんが出来たら、すぐに私を捨てて…娘だってことを隠して、使用人として雇った。…使用人…?あぁ、違う、ドレイだわ。お給料も出ないし、ご飯だって残飯を1日1回貰えるかどうか。
この姿を見てる限りじゃ、優遇されてる娘に見えると思いますけど。…これは今日、初めて父から貰った着物なの。義母が着付けてくれて。いつもはボサボサの子の髪も、綺麗に結ってくれたわ。痩せてて、魅力も何もない私でも、「普通の女の子」になれた気がした。
──本当に、気がしただけ。その後はすぐに捨てられてこのザマ。
…どうします?蛇王様。貴方の家臣達が信じる「朝代」はこんな人ですよ。…一介の使用人の話なんて、信用出来ないかもしれませんが…。
醜い半妖、の私を。
貴方はどうしますか?」
──蛇王様が華を見て、しばし黙っている間。
その隙に私は喋りだした。不気味だと思われたくて、蛇王様にまで避けられたくなくて。ひたすら話し続けた。
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海羅 - ユーリさんこんにちわ。おもしろかったです。また続き書いてください! (尊死) (9月19日 9時) (レス) id: 286d8438eb (このIDを非表示/違反報告)
海羅 - めっちゃ続ききになります!! (9月19日 9時) (レス) @page10 id: 286d8438eb (このIDを非表示/違反報告)
asterisk👑ground - ユーリさん» ユーリさんはじめまして、asterisk👑groundと申します、宜しくお願いします(⌒‐⌒)先程ユーリさんの作品を読ませて頂いきましたが何れも面白みがあって素敵ですね。次回の内容も楽しみにしてます♪(/ω\*) (6月18日 12時) (レス) @page3 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
読んだ感想 - 生きててごめんさい?ならはよ史ね (2022年8月5日 17時) (レス) id: 2c09132fd3 (このIDを非表示/違反報告)
ユキヒメ - ウッ、ヤバイ、カイラがカッコよすぎて死ぬー!これめっちゃ続き気になるわ、更新頑張ってください! (2021年5月2日 15時) (レス) id: 19f1affe62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユーリ | 作成日時:2020年3月26日 18時