元怪盗彼女は狙われる。≪鏡音レン≫

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車に乗り込むと私は髪留めをセーターの襟元にお守りみたいに付けた。



「如月 Aです。よろしくお願いします。」

私は最後に少し微笑んでぺこりとお辞儀する。

どうやら怪盗をやっていたからか

大人数の前で緊張するということはないようだ。

ぱちぱちと拍手が上がった。

「如月は家の事情とかで生まれて１度も学校に行けたことがないんだ。

学校のこととか知らないことがほとんどだと思うから教えてやってくれ。」

レン…そこまで手配してあったんだ。

そう思ってレンに感謝していると担任は余計なことまで口走る。

「ちなみに如月は鏡音家の御子息様の直属メイドだ。」

クラスの人たちは先生のその言葉が気になったのかより私の視線を強く向けた。

「如月は一番奥のあの席な。」

担任の先生はそう言って指をさした。

私に全員の視線が突き刺さっているのが見なくても分かる。

あんまり見ないでほしい…!!!

席に座ったと同時に何人かが視線をそらした。

私は安堵の溜め息を吐いた。

そうやって安堵したのもつかの間。

「同じ班の結月ゆかり。よろしくね。」

「よろしく…。」

学校指定ではない黒にうさ耳のついたパーカーに

紫の髪の毛、スピーカーみたいなピンをつけている女の子。

結月さんはふふっと妖艶に笑うと前を向いた。

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