元怪盗彼女は狙われる。≪鏡音レン≫

９８ ページ19

「えーっと？」

「だから、鏡音レンがお前は好きなんだろ？」

「うん。大好き。優しいし、恩人だし。」

「だからその恋諦めろ。」

…恋…。

私は笹条に腕を掴まれているのにもかかわらず考え事をする。

私はレンが恩人で、優しくしてくれるから大好きなだけ。

そうだよ、使える人の事を好くのは当たり前…。

「たしかに、自分が使える人の事を信頼することはあるかもしれない。

でも、お前の話してる様子見るとそんな感情じゃないと思うんだよ。」

私は口をつぐんで黙りこむ。

ジャリッと後ろから誰かが来る音。

「A、そろそろ帰るぞ。」

ヒョイと私の体が宙に浮く。

首を傾けてみてみるとそこには少し微笑んだ…

「………レ、レン様…。」

笹条が眉間にしわを寄せていらついたように舌打ちしたのに私は気がつかなかった。

「ごめんね。この子俺の大事なメイドなんだ、

いないと暇だし困るからそろそろ連れて帰らせるね。」

「あ、さ、笹条、今日はありがとう。また明日！」

私はとりあえずそう言って手を振った。

手を振り返してくれたときには私は車の中。

「A。ちょっと待ってて。」

レンは私を車に入れるとドアを閉めて笹条のところに行き何かを言っている。

それに笹条も何かを言う。

気になったけどレンに待ってろと言われたので仕方なく待っている事にした。

９９→←９７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す