元怪盗彼女は狙われる。≪鏡音レン≫

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「如月さん、今日遊べる？」

終学活が終わり鞄を手に持って教室を出ようとすると

横の席から声がかけられた。

そこにはにこっと笑う笹条。

「え、無理だよ？」

「なんで？」

「だって、私レン様の直属メイドだから…」

「今日くらいいいでしょ。」

帰ろうとする私の腕を掴むとぐいと引っ張られる。

私はその手をふりほどく。

「如月さんはレン様だけのものじゃないでしょ？」


―別に独り占めにしてねぇから。―

「確かにそうだけど…でも仕事を休むわけには…。」

「じゃあ、行こうか？大丈夫！レン様にもちゃんと説明しなよ。」

結局私は流される形でレンに電話する。

３回目のコールが鳴り始めたとき、その音が途切れた。

『A？どうした？』

携帯の向こうからレンの声。

そしてその音とともにチャイムの音がかすかに聴こえた。

「あ、今日クラスの人に遊ぼうって呼ばれたんだ。

だから今日帰るの遅くなってもいいかな…？」

しばしの沈黙。

『いいよ。でも危ないことに巻き込まれそうになったら俺に電話な。』

「うん。ありがとう。」

『あと帰るときになったら電話して。そこに迎えに行く。』

私はもう１度お礼を言うと電話を切った。

笹条が後ろから私の肩をたたいた。

「裏門集合ね。俺、この資料先生に届けるから。」

私は笑うと階段を下りて行った。

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