手紙

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大我サイド

教室で他の友人と笑いながら喋っているこーちを見ながら、ふと文化祭でやったステージの事を思い出していた。この学校では高2になると自分達で演目を考えステージ上で発表するという事を課題としている。文化祭とはいえ演劇、ミュージカル、コンサート、オーケストラ、オペラなどそれは本格的なもので、毎年外部からのお客様も来てそれはそれは盛り上がる。

いたずら書きの思い出はその時の事だ。

この高校は幼稚舎から大学まである学校で、偏差値も高くお金持ちじゃないと入学出来ない。こーちは高校から編入して来たけど編入組は相当頭が良くないと入れない。でも頭がいい事を全くひけらかさない柔らかい雰囲気の奴だった。
というのも幼稚舎から上がってきた人の中には変なプライドを持ってる人もいて編入組をちょっと小馬鹿にしている(俺はそんな事気にしないけど)
そんな嫌味な幼稚舎組に対抗するように編入組は勉強に対しても人に対しても「絶対負けないぞ！」てガツガツしてる感じがある。
でも彼にはそんな感じは全くなかった。だからこーちがクラスに入ってきた時は、昔からいました感が凄かった。しかも人との距離を詰めるのがあっという間で瞬く間にクラスになじんでしまった。「こいつスゲーな」て思ったんだ。

おれって陰キャだし、クラスの奴ともあんまり喋らない。その時は遠巻きにこーちを見ていた。「俺には縁のない奴だなって」

でも俺が1人で、大好きな歌(誰にも、言ったことないけど)を口ずさみながら帰っていた時、

高「めっちゃ歌上手いじゃん！！」
大「///・・・」

誰もいないと思ってたのに突然話しかけられて、恥ずかしくてどう返せばいいかわからなかった。

高「今度の文化祭、京本君歌った方がいいよ！」
大「え、え、え。いや、そのー」
名前を知っててくれた事にもびっくりして、しどろもどろになっていると
高「決まりね！俺文化祭委員だから！」
と、くしゃくしゃの笑顔を見せられたのと同時にぽんと肩を叩かれて胸がドクンと跳ねた。

( なんだ？この感じ？)


そこからの帰り道、歌が大好きな事や同じゲームが好きだった事なんかで大盛り上がりしてすっかり仲良くなった。
呼び名もそんな帰り道の間に「大我」呼びになっていた。

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