逢魔時にご注意を。 (ページ7)

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ベタに宝石とかどう？ページ7

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" 母の形見……だったんです…… "

「それを借金返済だと奪われたんですね？」

" はい…… "

扉の奥から啜り泣くご婦人の声と話しを聞くふっかさんの声が聞こえる。

共有スペースには私と昨日非番だったラウくん、翔太くんの3人だけ

残りのみんなは夜中に戻ってきて今も自分の部屋で夢の中だろう。

1時間ほどしてふっかさんが共有スペースへ入ってくるとう～～んと大きく伸びをした

「長かったな」

「依頼内容よりもメソメソされちゃって慰めるのに時間掛かった感じ」

「ふっかさん今回は幾らの宝石？」

「料金は500万」

「うわ～～安いねえ。じゃあ動くのも2、3人ってところだね」

「俺パスな。捜し物苦手だもん。」

翔太くんは早々に依頼を離脱しスマホに目を向けた

ラウくんは「うち不器用な人しかいないよねえ、ほんと困っちゃう」とソファーに身体を預けて天井を仰いだ

『……私、やろうかな』

「ハ？」

「え？」

『…………なに？』

小さな盗みは多分誰よりも経験があって私のやってきたことは法に触れることばかりだ

それに捜し物って男の人より女の人のほうが案外出来ちゃったりするんじゃないかななんて

……そう思って立候補しただけなのに翔太くんもラウくんも勢いよく私を見てうわあ～… と頭を抱えた

「……ふっか、当日空いてたら俺入れといて」

「俺も俺も！」

「はいよ～～しっかりメンツから外しとくな！」

「ねえ～～～ふっかさん～」

「おいふっか～～～」

今度は落胆して2人ともソファーに倒れた

……ここに来てから何となくみんなとも打ち解けてこれたけどまだまだ分からないことばかりだ

「Aは誰と回りたい？」

『え……私は誰とでも…』

「こういうのは慣れっこなわけでしょ？あんまり足でまといな奴は嫌じゃない？」

『……どうかな』

ふっかさんの深紫色の目がふにゃりと垂れる

ずっと1人でやってきたことだから誰かと盗みに入ることが足でまといになるのか見当もつかない

「ん～～じゃあまあ保留ってことで。あとでみんな起きたらメンツ決めようか」

「え！やっぱ俺らは戦力外なわけ？」

「翔太とラウは一度断った依頼だもんね～～」

「うっわ酷い！ふっかさん大人気ないよ～～ねえAちゃんもそう思うよね～～？」

『あはは』

キュウッッと抱きついてくるラウくんが可愛くて思わず笑ってしまう

こんなに平穏に笑ったこと、今までなかったなあ

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