#03 二次元との対面。 ページ3
喉が解放されて反射で咳き込みながら何事かとそちらに目を向ければ、私を庇うように目の前に立つ、背の高い男性の背中が見えた。
長くて綺麗な銀髪が、さらさらと、月明かりを浴びて綺麗、で。
その向こうで男が逃げて行くのが見えて、それから、彼がこちらを振り返った。
「君、大丈夫か？」
青のキャスケット、切れ長で三白眼の目、高めの鼻。
───赤井秀一によく似た声。
ぼろぼろと涙が溢れて、溢れて、止まらなくて、嗚咽を漏らしながら子供のように泣く。怖かった、苦しかった、痛かった、死にたくなかった、生きたかった、
貴方に、会いたかった。
「そう泣くことはない、もう大丈夫だ」
大きな手が私の頭を撫でる、あの声が私を慰める。これは私の夢なんだろうか、それとも私はもう死んでいて、これは死後の幻なんだろうか。
「わだしにやしなわぜてくだざい…」
「………は？」
もういっそ抱きつきたかったけれど、それをぐっと堪えた私を誰か褒めてほしい。
％
私が落ち着くまで待っていてくれた彼を尚更好きになりつつ、落ち着いた私は共通認識を高める為に質問をする。
「名前と、ご職業をお聞かせいただいてもいいですか」
「ああ…カイトだ。幻獣ハンターをしている」
ぐっときた。ぐっとこざるを得なかった。これで彼がただのレイヤーさんだったら私は死んでいい。でもそのクオリティの状態で私を助けてくれたレイヤーさんも罪深い。
「……不躾な切り出しになりますが、カイトさん。この世界に、ハンターなるものは存在しません」
「……は、」
「獣を狩るご職業の方はいらっしゃいますが、“幻獣ハンター”なる特定の職業は存在しない」
「だが、俺は、」
「カイトさん。この世界は、貴方がお暮らしになっていた世界とはまた別の世界です」
彼は目を見開いた。
私はひとつひとつを丁寧に、彼に説明した。彼自身が漫画の登場人物であること。私はその漫画の愛読者で、彼のファンで、だから彼のことを知っていたこと。
この世界に念能力というものがあるとすればそれは所謂超能力で、ごく限られた人間しか持ち合わせていないこと。
「…そういえば、刀はお持ちではないんですか？」
「…本当に俺のことを知っているんだな。念能力者の撃退をする際にその力に巻き込まれて…それまでは持っていたんだが、目覚めたときには既に手元から無くなっていた」
「ははぁ…最後の切り札をお持ちの敵だったんですね」
「どうやら、そうだったらしい」
#04 私だって、分かってる。→←#02 生きたい私に散々な出来事。
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色 - ヤバいっす!!!続きがみたいっす!!!男でも憧れそうっす!! (7月16日 22時) (
レス) @page8 id: 9c759aa54d (このIDを非表示/違反報告)
かえる38(プロフ) - 最高です！ めちゃくちゃ尊い…! カイトさん、大好きぃ…！ (2021年6月29日 23時) (レス) id: dc610bcb00 (このIDを非表示/違反報告)
ルカルカ - 更新まだですか？？面白いので楽しみにしてます (2020年8月8日 11時) (レス) id: b9d349ae92 (このIDを非表示/違反報告)
舞桜(プロフ) - 面白いです！HUNTER×HUNTERとのクロスオーバーも最高です。更新頑張ってください！ (2020年3月1日 0時) (レス) id: 44beeb878b (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - カイトさん尊い//// (2018年11月28日 17時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
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