白黒パレット【怪盗キッド/黒羽快斗】

episode43. ページ43

「んじゃあまた明日、学校でな」
「うん、また明日！気をつけてね〜」

本当に時間が過ぎるのはあっという間。
家の門から笑顔で手を振る彼女に手を振り返し、自宅へと踵を返す。
ふと触ったスマホのホーム画面は、先程通りがかったイルミネーションで撮ったAとのツーショット。思わず頬が綻ぶ。

甘い時間の余韻が心臓の鼓動を加速させる。それに戸惑いつつも家に入り、自室のドアを開けて呼び出し音の鳴っているパソコンを立ち上げた。

「あーっ！やっと出た！」
「ったく……何だよ母さん」
「見たわよ、ニュース。『怪盗キッド、驚異の空中歩行！』ってね」
「ベガスでもニュースになってんのか……」
「海外でもキッドファンが増加してるそうよ！」

嬉々としてそう言う母親に苦笑する。
余計なことに気づかれないうちにと通話を切ろうとしたそのとき、「あら」と俺を見て声を上げる彼女。どうやら遅かったようだ。

「なんかいつもより服おしゃれじゃない！何してきたの？」
「何って……普通に下見だよ、服がおしゃれなのは偶然だって」
「ふぅん……？じゃあ錦座でAちゃんと歩いてたってのはデマだったのね」
「げっ」

知られていたのだろうか。
思わず声を漏らすと、してやったりと言ったような顔で俺を見る母さん。

「嘘つきは泥棒の始まりだぞ〜？」
「どこで知ったんだよ……」
「母さんの情報網、なめないでおきなさいよ！ぜーんぶお見通しなんだから」
「へいへい。用事はそれだけか？切るぞ？」
「やだぁ、意地悪！」
「じゃあな、母さん」

止める声は聞かないふりをして、通話を強制終了させてため息を吐く。あのにやけ顔、面倒なことになりそうだ。

「……でも、なんで母さんがんなこと知ってんだ？」

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