白黒パレット【怪盗キッド/黒羽快斗】

episode25. ページ25

「＿＿ったく……言ってることとやってることが矛盾してるっつーの」

起こさないよう気をつけながらAをソファーに寝かせ、寝顔を見つめて微笑む。
自分でも驚く程に甘い、俺の声色。

「ほんっと、ほっとけねーやつ」
「ん……」

そっと抱き寄せ、綺麗な首筋に歯をたてる。
これで少しは効果があるだろう。
つけた小さな痕を指でなぞり、ほくそ笑む。
してやったり。

「そういや、風呂入ってなかったな」

今日はシャワーを浴びるだけにしよう＿＿せっかくAが手当てしてくれたのだから。
最後にここへ来たのはいつぶりだろうか。
脱衣場で服を脱ぎ、畳んで籠の中へと入れた。

＊
「A、シャワー借りたから」
「わ、わかったから服着て！服！心臓に悪い！」

シャツを着るのが億劫で、肩にタオルをかけた状態で顔を出すと咄嗟に目を逸らして動揺するA。
「なんでだよ」と答えれば「なんでも」と返されるため、仕方なくシャツを着てから彼女の隣に腰をおろした。

「ドキドキ、した？」
「……うるさい」
「したんだ」

無言。おそらく図星だったのだろう。
つん、と顔を逸らした彼女の頬は案の定桜色に染まっている。
その反応、期待してもいいのか？なんて。

「快斗って強いんだね」
「ん？」
「素手で突っ込んでったでしょ？それで大人相手に勝てるって凄いと思う」
「ああ、あれか……一応鍛えてるし、逆に勝てなかったらお前のこと守れねーじゃん」
「……ありがと」

言葉は素っ気ないが、その口元は幸せそうに綻んでいる。
素直じゃねぇな、と思いながらもそこが好きだと思ってしまう自分が居て。

「お風呂入ってこよっと」
「おー」
「覗かないでよ？」
「ばっ……誰が覗くかよ！」

ふっと笑ったAが脱衣場に行ってから、「快斗！」という怒声が聞こえてくるまでそう時間はかからなかった。

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