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episode3. ページ3

「まさか快斗があんなに上達してるとは、思いもしなかったよ」

鮮やかな紅に彩られた夕焼け空の下、俺とAは久し振りに並木道を歩いていた。幼い頃とは段違いのマジックを披露された俺も渾身のマジックを披露してやったが、内心緊張していた。まあお陰でクラスは大盛り上がりだったけれども。

先程から鳴り止まない心臓の鼓動。それを誤魔化す様に空を仰ぎ、呟いた。

「__紅いな」
「何が?」
「空」

つられて空を見上げるA。少し笑って、俺に顔を向けた。

「確かに、紅いね。……でも、私にとってはオレンジに見えるかも」

見え方が違う、と言う事実に少しがっかりしたその時。夕焼けの所為か頬が桜色に染まったAが優しげな表情で再び空を見上げた。

「別に見え方が違っても良いと思う。自然の色って、一つじゃないから。私は絵を描いているからそれが良くわかるんだ」

Aが照れくさそうに頬を掻く。儚げな、少し明るい笑顔を向けられ、心臓が跳ねた。

今度、絵を見せてもらいたいな。何を描いたのかが無性に知りたくなった。

「あ、私の家こっちだから……元の場所に帰ってきたんだ。じゃあね、また明日」
「じゃあな」

Aの姿が角に消えていったのを確認し、大きなため息を吐いた。否、ホッとしたのかもしれない。何故なら彼女は俺の、


“初恋”


だったから。ライバル兼親友と言う関係を壊したくなかった幼い頃の俺は、気付いてなかったのではなく気付かなかった“振り”をしていただけなのかもしれない。

青子に向けられていた「好き」と、心の中で笑顔が焼きついているAに向けられていた「好き」は明らかに別物だったことに、すでに気付いていたのだから。

「マジックの練習、しなくちゃな」

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シルビア-Silvia-(プロフ) - つばき-tubaki -さん» ありがとうございます!!!自分でも書いてて叫びそうになりながら頑張りました(?)お褒めの言葉嬉しすぎます……!頑張りますね! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
つばき-tubaki - - シルビアさんもHoneyWorks さんが好きなんですね私もです!!!アリサちゃんのセリフが出てきた時嬉しくて叫びました(笑)。Honey Works さんみたいに面白いです!更新頑張って下さい! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 4f1f916ec6 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 天音さん» そうです!!!アリサちゃんのそのセリフが可愛すぎてどこかで使えないかなぁと思って入れました笑HoneyWorksさん大好きなんですよ……!!ありがとうございます、更新頑張りますね!! (2019年6月8日 23時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 恋人になったんですね!ずっといつ告白するのかハラハラしてました。あの、もしかしてepisode41の「好きすぎて、やばい」ってHoneyWorksさんの「生意気ハニー」の高見沢アリサちゃんの台詞ですか?(違ったらごめんなさい)更新頑張って下さい(長々とすみません)。 (2019年6月8日 22時) (レス) id: d5e2e87506 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 美紅さん» お褒めの言葉ありがとうございます〜!これからもドキドキさせられるよう頑張りますね笑 (2019年5月1日 15時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Silvia | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年3月20日 14時

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