episode13. ページ13
「っおい、A……？」
「人の気も知らないで……快斗の馬鹿！大っ嫌い！」
凄い剣幕で怒り出すAの目元には、大粒の涙が溜まっている。出ていってしまった彼女と入れ替わるように入ってきたジイちゃんが、目をパチパチさせた。
「坊っちゃま、どうなさいましたか？」
「ああ、少し……な。怒らせちまった」
組んだ腕をカウンターに置き、その上に顎を乗せる。何故上手くいかないのだろうかと頭を抱えていると、深く息を吐いたジイちゃんが向かいに座った。
「坊っちゃま」
「何だ？ジイちゃん」
「恋というものは、相手の心情を理解することも必要です。白雪様は恐らく今頃＿＿」
「……Aの心情、ねえ」
ただでさえ複雑に絡み合っていた脳内の糸が、更に複雑に絡み合う。はあっと大きく息を吐き出し、外へと出た。
＊
「あーあ、また八つ当たりか」
座っていたブランコがきいっと音を立てる。さっきの快斗は悪くない、悪いのは私。
小さい頃から、ずっとそうだった。
自分の非を認めずに快斗を責めて飛び出していって、慌てて追いかけてきた快斗に大怪我を負わせてしまった、あの頃と。
「＿＿ああ、私は」
まだ、貴方と再会しない方が良かったんだ。
幼い頃の私は例の一件で自身を呪い、無理矢理その感情に蓋をした。けれどそれは貴方が容易く壊してしまう程に脆かった。
「Aっ、」
「私に近付かないで」
口を開けば、思ったよりも冷たい声が声帯を震わせる。違う、私が貴方に言いたいのは＿＿
「嫌だ。話してみ？」
「っ、」
「聞くから」
「う、うぇ……」
「ほら、好きなだけ泣けよ」
ふ、と快斗が微笑んで背中をさすれば、熱いものが堰をきったように溢れ出す。
＿＿ああ、私は。
この優しさに、この安心感に、
依存してしまうのかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 534人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
推しの人形と映画鑑賞した帰りに知らない街でパツキン公安に出会った話。【愛され】
100万ドルの五稜星【名探偵コナン】
復讐者と名探偵 2nd【推しの子】【名探偵コナン】
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シルビア-Silvia-(プロフ) - つばき-tubaki -さん» ありがとうございます！！！自分でも書いてて叫びそうになりながら頑張りました(？)お褒めの言葉嬉しすぎます……！頑張りますね！ (2019年6月9日 17時) (
レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
つばき-tubaki - - シルビアさんもHoneyWorks さんが好きなんですね私もです！！！アリサちゃんのセリフが出てきた時嬉しくて叫びました（笑）。Honey Works さんみたいに面白いです！更新頑張って下さい！ (2019年6月9日 17時) (レス) id: 4f1f916ec6 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 天音さん» そうです！！！アリサちゃんのそのセリフが可愛すぎてどこかで使えないかなぁと思って入れました笑HoneyWorksさん大好きなんですよ……！！ありがとうございます、更新頑張りますね！！ (2019年6月8日 23時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 恋人になったんですね！ずっといつ告白するのかハラハラしてました。あの、もしかしてepisode41の「好きすぎて、やばい」ってHoneyＷorksさんの「生意気ハニー」の高見沢アリサちゃんの台詞ですか？（違ったらごめんなさい）更新頑張って下さい（長々とすみません）。 (2019年6月8日 22時) (レス) id: d5e2e87506 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 美紅さん» お褒めの言葉ありがとうございます〜！これからもドキドキさせられるよう頑張りますね笑 (2019年5月1日 15時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
