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*episode 嫉妬心* ページ35

工藤君の推理の経緯をなんとなく聞き流し、ハッチの横にあるロープに掴まる。この後は飛行船が落ちるか跳ね上がるかというお決まりの展開だ。

「もうすぐ床が傾くと思う。気をつけて」
≪は!?ちょっ、待てっ!≫

ブツ、とインカムの電源を切る。刹那、飛行船が垂直に傾き始めた。ぎゅっとロープを握る手に力を込める。

「うわああああ!」

屋根に掴まった主犯の藤岡さんが、耐えきれずに海面へと落ちていき__飛沫を上げて波に飲み込まれていった。


明石海峡大橋近くの海では、警視庁のヘリコプターが上からライトで照らす中藤岡が海上保安庁の巡視船に引き上げられ、拘束された。

近くに停まっていた仲間のクルーザーも確保され、事件は今度こそ幕を閉じた__筈だった。

やがて飛行船はベル・ツリータワーに到着し、屋上から伸びた係留塔に繋がれた。眼下にはライトアップされたベル・ツリータワーをはじめ、大阪の夜景が宝石を散りばめたように広がっている。

飛行船ではディナーが用意され、浅野の案内で乗客が次々とダイニングに入ってきた。頭や腕に包帯を巻いた工藤君達もテーブルに進む。

「瑞希ちゃん、どこ行くの?」
「少しね。すぐに戻るから」

階段を上り、スカイデッキへと向かう。エレベーターがそこで停まっていて、蘭さんが居ない。そして、工藤君だと偽った快斗。

物陰から顔だけ出すと、そこでは円台に立った快斗が宝石をかざしていた。思い違いだったかと安堵の息を吐いた直後、蘭さんが現れる。

嫌な予感は的中したのだった。

何やら言葉を交わしているのだろうか。少しの間それを繰り広げた後、蘭さんが快斗の背中に抱きついた。頬を赤らめた快斗にギリっと奥歯を噛みしめる。

やだ、触れないで。私の、快斗に。

咄嗟に浮かんだ言葉に戸惑い、同時にふつふつと怒りが湧き上がってきた。激しい嫉妬心。

蘭さんの唇に手を当て、更に後頭部に腕を回して引き寄せる。二人の唇が近づいて__

__もう見ていられなくなって、ロングコートの内ポケットに手を突っ込みトランプ銃を取り出した。弾倉にはトランプではなく、予め痺れ粉を塗りたくったオリジナルの弾をセットする。

「キッド、てめえ!」

激しい罵声。工藤君が一瞬、救世主に見えた。

*episode 好きなのか*→←*episode 詰めが甘い*



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シルビア@快斗君神推し(プロフ) - アイリスさん» ありがとうございます!快斗君格好良すぎて…… (2018年6月2日 12時) (レス) id: 6380122d07 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - 展開が甘酸っぱい…快斗に惚れ直しました(笑)これからも応援しています! (2018年6月2日 12時) (レス) id: b4b2c4fcf3 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア@快斗君神推し(プロフ) - ピッピさん» ありがとうございます!応援に応えられるよう頑張りますね! (2018年5月29日 18時) (レス) id: 6380122d07 (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ(プロフ) - 快斗ー!!めちゃくちゃカッコいいです!!10点連打機能がない占ツクを初めて恨みました…!笑 続きも応援しています(*^^*) (2018年5月29日 11時) (レス) id: d3db016fb1 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア@快斗君神推し(プロフ) - MONOさん» ありがとうございます(^^♪ (2018年5月26日 18時) (レス) id: 6380122d07 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Silvia | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年4月23日 16時

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