非日常と、ささやかな癒しを貴方に。【名探偵コナン】 (ページ33)

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＊episode 煽り上手？＊ページ33

「鬼さん、こっちだっ！てーのなーるほーうへ」
「ナメやがって、このガキ！」

マシンガンに銃弾のオンパレード。まあ組織に鍛えられた私にはこのくらいの弾、お茶の子さいさいだけどね。今はクリスとして動いていると言えなくもない。

螺旋階段を駆け上がり、ガラスケースの陰に隠れる。やがて男が現れ、工藤君が足元の床を見る。茶色と白が碁盤の目のように五列×五列で交互に組み合わされている仕掛け付きの床だ。

「一と････七！」

ガラスケースに表示された一と七と#のテンキーを押す。途端に床が抜け、男が落ちてから自然に床が閉まった。

「馬ぁ～鹿････」
「キッド用の仕掛けが役に立ったな。それとこいつも、お前が用意したのか？」
「もちろん。ハニトラで落とせば一発だった」

ハハハ、と苦笑いした工藤君の背後からサブマシンガンが突きつけられる。ヒヤリと嫌な汗が流れ、床に落ちた。

「動くな！それを捨てろ」

言われた通りに剥がした指紋シールを床に捨てる。と、

「そのまま手を上げてろ」

サブマシンガンを構えた男が円台に上がり、手をつけと私に指示する。いい度胸じゃん、と笑いながら「つかなきゃダメですか？」と問い掛けた。

「逆らうんじゃねえ」
「んじゃ、遠慮なく。ほい」

ポンと台座に手を置くと勢い良くパンチングボールが飛び出して、男の顔面を直撃した。

「うわあああ！」
「あーあ。だから言ったじゃん」
「馬鹿なんだね」

ぽつりと本音を呟く。今度は背後から続けざまに銃声が響き、咄嗟に台座へと身を寄せた。

「このぉー！」

非常口から出てきたもう一人の男が走りながら拳銃を撃ってきて、船尾に向かってローラースケートのエンジンを作動させた。

「あっ！」

ちらりと振り返り、天井の展望窓を指さした。つられて上を見た男が足を止め、天井に拳銃を向ける。その瞬間壁のセンサーが作動し、電流が走った。

「ぎゃあっ！」
「おつかれさん」
「おい、マジかよ････」

ふーっと息をつくと開かれた展望窓から奇術師さんが飛び降りてきた。一瞬視線が絡み、擽ったい気持ちになる。

「何これ？」
「次郎吉さんがおめえのために用意した三つ目の仕掛けだ」
「ほら、言ったでしょ？まあ細工は流々だけどねって」
「これのことか。俺が宝石を奪ってあの窓から脱出してワイヤー銃を撃ったら････あっぶねー、あぶねー！」

快斗が上げかけた手を慌てて下ろした。