非日常と、ささやかな癒しを貴方に。【名探偵コナン】

＊episode 転校生＊ ページ3

小高くなった丘の上で昼食をとっていると、楽しそうに遊ぶ元太、光彦、歩美の声が聞こえてきた。

「････なあ灰原」
「分かってる。一ノ瀬さんのことでしょう？」

小学生にとっては嬉しいのであろうイベント、遠足。友達の意外な一面を見つけられるものだが、俺と灰原は転入生＿＿一ノ瀬瑞希について話していた。

清楚で気品ある雰囲気を纏ったこの少女は、ただの小学生ではない。俺達はそう踏んでいる。

先日の昼休み、サッカーに誘ったときは優れた動体視力と運動能力を見せつけてくれた。まさか小一に負けるなんて思ってもいなかったが。

話は変わるが、第二の東の高校生探偵と呼ばれていた少女、七瀬Aが姿を消したという噂を耳にした。その容姿は転入生とほぼ同じだ。

何らかの理由で幼児化したと考えると辻褄が合うが、本人はそれらしい素振りを全く見せない。そもそも七瀬Aのことも知らない、の一点張り。

「彼女、でも明らかにただの小学生じゃないわ。工藤君と同様に頭が切れるし」
「ああ････組織に絡んでる可能性もあるな。記憶を失っているかも」

懐からスマホを取り出し、博士にかける。相当暇だった様で、ワンコールで呼出音が切れた。

≪どうしたんだね、新一≫
「七瀬Aについて調べてくれねぇか？話は博士の家でするから」
≪ああ、構わんよ≫

了解の返事を聞いてから電話を切る。灰原がぎゅっと握っているのはAPTX4869の解毒剤で、その視線は一ノ瀬さんへと向いていた。

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