地獄の門番 ページ38
五条と恵が特訓を始めて数ヶ月した頃、
「恵、この石に力込めてみろ。」
Aがそう言って渡したのは白っぽい球体の石。
受け取った恵は不思議がりながらも腕をぷるぷるさせながら力を込める。
その様子を見てAは石を握る手に自身の手を重ねた。
「違う、石を力でどうこうするわけじゃない。
あるだろう、お前の中の呪力の流れが。」
呪力コントロールの訓練をしていることを知っていた。
「その呪力を石にも分けてやるんだ。
だが、その時に術式を使うように…
…何と言えばいいのか。」
体がその方法を熟知しているが、言葉にすると何と言っていいかがわからない。
「例えば、お前が十種影法術を使う時に、呪力を術式に通して使っているイメージなのだとしたら、
その術式を通した呪力を石に込めるんだ。
…違うな、呪力を乗せた術式を?…これも違う。
…まあ、とりあえず呪力込めてみろ。」
(この人放り出したよ。)とそばでみていた五条は思った。
共に過ごしていると、こんなふうに適当なところも多く見えるようになった。
恵は首を傾げながら、目を閉じて呪力を石に流す。
恵が目を開いた時、ただの白っぽかった石は、まるで水晶の中に黒い煙が閉じ込められたような、そんな模様が浮かび上がっていた。
小さな手から石を取り上げると、日の光にかざしたり手のひらで転がしてみる。
「うむ、まあまあだな。」
次はAがその石を手で包み込んだ。
すると、Aの影はみるみる大きくなり、その闇のような影から頭が三つの大きな犬のような怪物が現れた。
「ケ、ケルベロス…?」
五条が口をあんぐりと開けている。
体長3メートルはありそうな怪物は大きく口を開けて恵に襲いかかる。
きたる衝撃に備える間もないまま目を見開いたまま固まる恵。
が、それはやってこなかった。
怪物の足が地面から離れた瞬間、霧のように消えていったからだ。
「恵の術式が完成していれば、今頃生きていないだろう。
一歩動いただけで消滅、…まだまだ先は長そうだ。」
Aが持っていた石には大きな亀裂が入り、どす黒くなっていた。
その石を恵に返すと、さっさと小屋の中に戻っていってしまった。
五条も訳がわからないようで、その場に立ち尽くしていた。
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昨日今日のhit数がすごいことに…!
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ダイフク(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます!オチについては明言出来ないのですが、楽しんで読んでいただけるかな、と思います…。更新頑張ります! (2022年3月6日 1時) (レス) id: 7eb0c29f0f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ダイフクさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。更新楽しみにしています。 (2022年2月25日 11時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
ダイフク(プロフ) - みきゃるさん» コメントありがとうございます!とても遅くなりましたが、これから少しずつ更新して行くのでよろしくお願いします! (2022年2月6日 1時) (レス) id: 7eb0c29f0f (このIDを非表示/違反報告)
みきゃる(プロフ) - とても面白いです!!!ゆっくりでもいいので、続きが見たいなと思ってしまいました、、! (2021年12月12日 10時) (レス) id: 22cb947882 (このIDを非表示/違反報告)
ダイフク(プロフ) - 雪マカロンさん» コメントありがとうございます!早く高専生たちを登場させられるように更新頑張ります! (2021年3月4日 20時) (レス) id: 9e9c718d28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ダイフク | 作成日時:2021年1月11日 15時