希望 ページ30
「じゃあ、Aは一人で千年近く生きてきたってこと…?
あ、水明さんって呼んだ方がいい?」
「その名はもう捨てたから今まで通りでいい。
千年、私はお前を待っていたのかも知れんな。
初めてここに呼んだ時は道真の子孫の中で最も大きな力を感じたからだ。」
ここでAが五条の目をじっと見る。
ちなみに目隠しはここにいる間は外したままだ。
「…だが今、お前はこの世界での革命児のようだ。
道真の託した希望はどうやらお前らしい。」
「…なんか、今心の奥まで覗かれた気がする。
今もそこそこ腐ってると思ってたけど、
Aの時代はもっと腐ってたみたい。」
「正直に言ってしまえば、今までは様子見といったところか。
本当に力を貸すに値する人物かを見極めさせてもらった。
もし、二十歳になって再びここに訪れた時、お前が腐った連中と同じ思想を持っていれば二度と会わないつもりだった。」
お茶をすすりながらゆっくりと話す。
「ふーん、じゃあAは僕の守護者みたいなわけか。」
「まあ、そんなところだ。」
会話が途切れて五条は自身の右肩に刻まれたものに目を向けた。
その呪文の表面からは黒いもやが未だで続けている。
「でもさ、力を貸すっていっても何してくれるの?」
「…それは時と場合による。」
「これ計画なしのパターンだ。そうでしょ?」
にやにやしてAを指さす五条。
「私も事細かくあれしろこれしろと指示を受けたわけではないのだ。
その指をさっさとしまわないとへし折るぞ。」
睨みつけると、ひいいと半分ふざけたような声を出して五条は指さすのをやめた。
「…いいこと思いついた!
Aは僕に力を貸してくれるんでしょ?
だったら今の世界についてもっと知らないといけないとは思わない?
この領域の外に出ようよ!
ね!これ名案!」
急に立ち上がったかと思うと、嬉々として話し出した五条を怪しいものをみるような目で凝視する。
「だが、…あまり外へは出たくない。」
昔のことが脳裏によぎる。
あの家族が殺されたことが。
「菅原道真が僕に力を貸せって言ったんだから、外に出るのは必須条件!
それに、興味がないわけではないでしょ…?」
五条は顎に手を当てて、にやにやと笑いながら顔を近づける。
「そ、そこまでいうのなら仕方ない…。」
顔を逸らしてバツが悪そうに言うAが、本当は人と関わりたいこと、外の世界を知りたいことに昔から気づいていた。
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ダイフク(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます!オチについては明言出来ないのですが、楽しんで読んでいただけるかな、と思います…。更新頑張ります! (2022年3月6日 1時) (レス) id: 7eb0c29f0f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ダイフクさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。更新楽しみにしています。 (2022年2月25日 11時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
ダイフク(プロフ) - みきゃるさん» コメントありがとうございます!とても遅くなりましたが、これから少しずつ更新して行くのでよろしくお願いします! (2022年2月6日 1時) (レス) id: 7eb0c29f0f (このIDを非表示/違反報告)
みきゃる(プロフ) - とても面白いです!!!ゆっくりでもいいので、続きが見たいなと思ってしまいました、、! (2021年12月12日 10時) (レス) id: 22cb947882 (このIDを非表示/違反報告)
ダイフク(プロフ) - 雪マカロンさん» コメントありがとうございます!早く高専生たちを登場させられるように更新頑張ります! (2021年3月4日 20時) (レス) id: 9e9c718d28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ダイフク | 作成日時:2021年1月11日 15時