混沌 ページ24
「今、水明さん、って言う人の武勇伝聞かされてるだけだよね?
A出てきてなくない?」
「あと少しで話が繋がるから聞け。」
〜〜〜〜〜
御前試合が終わってから、今まで水明を見下していた者の態度がころっと変わった。
神覚家の人間は立派な当主を持ったことを色々なところで自慢しているらしい。
しかし、その裏で面白く思っていない人間もいる。
『水明、水明、どこもそればっかりだ。
第一、女が当主につくことが恥ずかしくないのか。』
ヒロタカ
『広貴様の言う通りでございます。
神覚家当主の名はあなたにこそ相応しい。』
この男、神覚広貴は前当主、神覚一の弟の息子である。
つまり、水明にとっての従兄弟である。
そこそこの実力があり、汚い仕事を引き受け、保守派から点数を稼いでいただけに、次期当主は自分で間違いないと思っていたのだ。
しかし、現実は違った。
その現実を、不正だ、だとか相応しくない、とか言って受け止めないでいる。
そんな広貴を支持する者は少数だがいる。
水明が当主となったことで、高額な報奨金がもらえる仕事がしにくくなったからである。
『内密にこの紙に書いてある人物を一堂に集めろ。
済んだらこの紙は燃やせ。
…くれぐれも気づかれないようにしろ。』
『承知いたしました。』
広貴は怪しい笑みを浮かべた。
神覚家の領地には、当主の名がつけられる山がある。
当主が代わると、その山の名も変わるのだ。
現当主、水明の名で呼ばれているその山は神聖なものとして、限られた者以外の立ち入りが禁止されている。
水明はこの山によく足を運んでいた。
俗世から離れられるからだ。
山には小屋が建てられ、休憩所として使用されていた。
ある日、山に入った水明は一人の女性が手探りでうろうろしているのを見つけた。
『おい、そこの女。
ここで何をしている?』
女性は声がした方を向いた。
しかし、その目の辺りには布が巻かれている。
『すみません、義母と山へ来たのですが、はぐれてしまって…。
私、目が見えないもので…、よければ麓まで連れて行ってはもらえないでしょうか?』
どうやらその女性は目の前の人物が水明で、この山がどこなのかも気づいていないようだ。
『それは災難だったな。手を貸そう。
右手を取るぞ。』
そう言って水明は女性の右手を自身の左手に組ませ、いつもよりもずっと慎重に辺りを見ながら山を降りた。
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ダイフク(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます!オチについては明言出来ないのですが、楽しんで読んでいただけるかな、と思います…。更新頑張ります! (2022年3月6日 1時) (レス) id: 7eb0c29f0f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - ダイフクさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。更新楽しみにしています。 (2022年2月25日 11時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
ダイフク(プロフ) - みきゃるさん» コメントありがとうございます!とても遅くなりましたが、これから少しずつ更新して行くのでよろしくお願いします! (2022年2月6日 1時) (レス) id: 7eb0c29f0f (このIDを非表示/違反報告)
みきゃる(プロフ) - とても面白いです!!!ゆっくりでもいいので、続きが見たいなと思ってしまいました、、! (2021年12月12日 10時) (レス) id: 22cb947882 (このIDを非表示/違反報告)
ダイフク(プロフ) - 雪マカロンさん» コメントありがとうございます!早く高専生たちを登場させられるように更新頑張ります! (2021年3月4日 20時) (レス) id: 9e9c718d28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ダイフク | 作成日時:2021年1月11日 15時