CHUDOKU (ページ3)

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CHUDOKU - Ki 3 ページ3

彼の部屋の前で待っている間、冷静になろうと思ったのだけど、無理だった。

だって、宅飲みって。

しかも、少し、気になっている人。

心の中でさえも"好きな人"とは言いたくなかった。

それを認めてしまったら、傷つくのは目に見えているから。

弱いかもしれないけれど、常に自分の気持ちに予防線を張っている。

そんなことを考えていると、ガチャ。っとドアが開いて宏光が顔を出した。

「お待たせ。入って。」

「あ、うん。ありがと…おじゃまします…。」

ゆっくりと部屋に入り靴を脱ぐ。

「あ、鍵しめてーリビングこっちー。」と、すでに部屋着に着替えてラフにわたしを呼ぶ彼を見て、少し気が楽になった。

うん、いつも通りいつも通り。

2人がけのソファにローテーブル、大きなテレビと間接照明。

「わー…広くてオシャレな部屋だね。宏光っぽくない(笑)」

「ヲイ(笑)失礼だな(笑)」

「だって、間接照明とか使ってると思わなかった。」

キョロキョロしていると、「あんま見んな。」と軽く叩かれて、ソファに座るよう言われた。

「焼酎でいい？」

「あ、うん、ウーロンハイで！」

「ふはは(笑)いつものやつね。」

「そーそー、いつものやつ(笑)」

お酒を作ってくれた宏光はグラスを私に渡すと、自分はソファの下に座った。

振り返った姿勢で上を向く彼と乾杯する。

お酒を一口飲むと、彼が話し出した。

「今日、ありがとな。こんな時間まで付き合ってくれて。なんっか全然うまくいかなくてさ、イライラして、さらに空回ってさ、悪循環っつーの？抜け出したくて。今日、Aと飲めてよかった。」

宏光の目は、テレビで適当に流している海外ドラマを見つめていて、表情は見えない。

「そうゆう日、あるよ。私も今日は忙しくてバタバタしてたから、宏光と飲めてよかった。なんか落ち着いた。誘ってくれてありがと。」

クルッと宏光が振り返って、ニッと笑う。

そのまま他愛もない話をしながらグラスを傾ける。

「もう一杯、いる？」

「あ、うん、お願い。」

新しいお酒を作ってくれた宏光は、ドカッとソファの上、私の右隣に腰を下ろした。