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あの後、トントンに書類を出しに行けば怒られた。
連日徹夜続きでイライラしてるのか、余分に怒られたけど、私でストレスが減るのであれば安いものだ。
2時間弱説教された後、疲れきったのかトントンは電池が切れたかのように机に倒れ込んで寝てしまった。
190越えの大男に鍛えられた体をベッドまで運ぶのは普通の女の子だったら無理だろう。
だが、私は軍の隊長をつとめている。
よいしょ、と横に寝かせ布団をかけた。
ふと、卓上に積まれた大量の書類を見る。
すごい量だ。
トントンは寝ているし、私がこっそりやっておこう。
私は、大量の書類を抱えて、自室に戻った。
胸から煙草を取り出し火をつけて吸えば、肺の中に煙が充満した。
トントンが目を覚ますまで、2時間はあるだろう。
それまでに済ませて、元に戻しておかなければ。
足を組み、煙草を右手に持って書類に目を向けた。
「それにしても…溜めすぎやろ」
名前を見れば「コネシマ」「シャオロン」「鬱」。
あいつら、またトントンに書類任せてるのか。
自分のは自分のでやれって言わないとなあ。
でも、今の私にはそんな力はない。
絶対お前が言うなって言われるよなあ。
そうして1時間半が経ち、全ての書類が終わった。
紅茶でも飲もうかな。
立ち上がって伸びをして、部屋を出る。
終わった書類を持って廊下を歩いていると、ふと窓に目を取られ、外を見てみた。
外では、私と同じか歳下の女の子がお洒落な服を着て、楽しそうに友人と喋っていた。
_あぁ、いいなぁ
最近になってよく思うようになってきた。
もし、私が軍人じゃなくて一般人だったら__
あの娘たちのように可愛い服を着られただろうか。
好きな人が出来て、結婚して子供が出来ただろうか。
戦争に参加せず、家族と居られただろうか。
手元の書類に目を落とす。
ふ、なんて、絵に描いた餅だよね。
今更じゃないか、軍人じゃなかったら、なんて。
__それでも…
「…さて、トントンが起きないうちに書類を置いておこう」
この気持ちは、押し殺さなければ。
そうしないと、きっと私は…
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そあ - とても素敵な作品を読ませていただいてありがとうございます。今まで見た事ない結末で、終始己の感情を揺さぶられながら見ていました。言語化ができないくらい本当に感動して涙が止まらなかったです。改めて、こんなに素敵な作品を創り上げていただきありがとうございま (2023年4月16日 9時) (レス) @page50 id: 631f5adca0 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 読み終わった頃には涙でびしょびしょでした…。号泣…。ありがとう…。 (2023年2月4日 7時) (レス) @page50 id: fdfca7d6d9 (このIDを非表示/違反報告)
うなん(プロフ) - この作品が作られた時から知っているのに今読んでもあまり泣かない私でもとても泣いてしまいます… (2022年8月23日 23時) (レス) @page50 id: 1526234c9f (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 他人を不幸にして自分は幸せになる綺麗話か (2022年8月10日 18時) (レス) @page48 id: 12da5077e2 (このIDを非表示/違反報告)
四季 - 泣きました(((とても楽しく拝見させていただきました!泣きました(((とにかく号泣で(((素晴らしい作品をありがとうございました!! (2022年7月12日 16時) (レス) id: b733f218de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らある | 作者ホームページ:http://kain00765467/yuki.pearl.//
作成日時:2020年3月23日 15時