階級学園【小説】 (ページ10)

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最悪なスタートダッシュ【渋谷　霜】ページ10

暗い屋上に、俺と彼はいた。

『ねぇ、なんで？』

やめろ。

彼は問う。

俺は手を震わせる。

『僕、辛かったんだよ？』

ほんとに。

また、問う。

体を震わせる。

『僕辛かったのに…！』

知ってるから…！！

『助けてくれなかった霜も呪うから…！』

そういった彼は恨みのこもった眼を見せる。

「やめろ！！」

もう聞きたくない。

もうやめてくれよ…！

俺は眼をきつく閉じ、耳を塞いだ…

「っはぁ…！はぁ…」

目の前にはさっきまでの暗い屋上ではなく、白い天井が見えた。

「また…あの夢…」

自分の無力さがわかる夢。

‘あの事件’から定期的にみている。

～♪

「あっ！やっべ早く支度しねぇと！！」

唐突に響いたスマホのアラームをしっかりと止め、支度を始めた。

制服に腕を通し、ガーネットのネックレスを付ける。

階級学園、ゴールドの証。

え？思ったより高いって？

そんなことないだろ…

階級学園でいえば真ん中より少し上…

あぁ…どちらかというと高い…のか？

って、そんなことはいいんだよ…

パウチ型のゼリーを片手に家を出る。

今日から新学期っていうのに朝ごはんこれでいいのかよ…

走りながらゼリーを食べきり定期と入れ替えるようにバッグにゴミを突っ込む。

改札を通り、走るのをやめる。

この電車に乗れれば大丈夫。

最寄り駅は始発なので、まだ出発まで時間があった。

学園近くの出入り口に行くため３号車に向かう。

すると目の前のサラリーマンが俺のほうに向かって体当たりをしてきた。

「うわっ！？」

俺は少しだけ飛ばされ電車に寄り掛かるような体制になった。

「ぶつかってきてんじゃねぇよ！！」

「ごめんなさい！！」

あぁ、上の階級じゃなくてよかった。

もしもあのサラリーマンがレジェンドだったら…

いや、考えるのはやめておこう。

っていうか電車なかったら俺線路に真っ逆さまだったのか…！

あんな夢見るし、朝ごはんまともに食べれてないし、当たり屋にあうし…

最悪なスタートダッシュだ。