階級学園【小説】 (ページ4)

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アリス様はゴキゲン【市原海斗】ページ4

青空の下、桜吹雪に吹かれて、ボクは道を進む。
目の前には立派な校舎が堂々と立っている。それまでの道のりを遮るものはない。
此処、芽歌学園は徹底された階級制度のある学園である。故に付いた名前は『階級学園』。
階級学園はその名の通り階級が物を言う所。
ボクらみたいな上の階級はともかく、下の庶民なんかは殆ど意見をする権利もない程だ。
今さっきまで庶民がシルバー辺りの生徒に楯突いてる絵面があったけど、会長の一声でさっさと下げられた。いやーレジェンドって凄い便利。

生徒会＿＿＿＿レジェンドの皆が、庶民たちが開けた道を歩いていく。
ボクはその後ろの方を、自慢の黒髪を靡かせて歩く。
別に後ろの方を歩いてるのは階級が低いからとかじゃない。単純にその方が都合が良いからだ。
何故かって？そりゃあ、まぁ……この観衆の目を見れば分かるんじゃないかな？

今までの会長への畏怖は何処へやら、観衆はボク一色！
庶民達の方ににっこり笑って手を振ってやれば、その視線はボクに釘付けになる。
見惚れて立ち尽くす者もいれば、顔真っ赤にしてそっぽ向くのもいる。反応は何でも良いけどね。

「お、おい……今アリス様がこっちに向かって笑ったよな！」
「バッキャローお前じゃねェよ俺だ！」

但し、毎回といっても良いほど男子生徒がこうやって暴動を起こしかけるのが面倒なのだ。
頼むから君達大人しくすることを覚えて？ついでに刃向かうと退学ってことも学習して！！いやそれは学習しなくても退学する奴が増えるだけなんだけど。

「え、ちょっと、そんなつもりじゃ……け、喧嘩しないでよ……」

まぁ、それもこの一言で収まるけどね。

「ゴメンね、あの、別に……特定の相手じゃないんだ……その、皆んなに向かって笑ったつもりだったんだけど……」

駄目だった？と首を傾げれば、その場に居る全員が揃って首を横に振る。それこそ首がもげるんじゃないかってくらい。
反応を充分に楽しんだ後は、じゃあねと手を振って皆に追いつく。

「りぃちゃんもやりますね～」

話しかけてきたのは、生徒会の奇人変人大天才＿＿＿否、天災かもしれない＿＿＿蒼空雪心、もといゆきみん。
唯一ボクがチェスをやって楽しい相手。

「そうかなー？」

すっとぼけて返せば、ゆきみんに笑われる。
彼女なら分かっているだろうな。

「あ、そうだゆきみん！今日またチェスの相手してよ、最近相手してくれなくて暇だったんだ！」

「良いですよ～、今日こそりぃちゃんに勝つのです～」