嫉妬と貧しさ.2 ページ2
「……シルバー、私ならたくさんの愛情を貴方に注いであげられるわ〜」
妖精は愛しげにシルバーの瞳を覗きこんだ。
異変を感じた動物達が、２人の周りに集まり、陰から様子を伺った。
妖精は妖しい笑みを浮かべると、シルバーに言った。
「貴方を愛してくれないあの騎士とは違って……」
妖精が呟いたその一言を聞いて、動物達は揃って肩を震わせた。
妖精は「ふふっ」と笑うと、シルバーの額に口づけをした。
───しかし、何故かシルバーの瞳は動じていないように見えた。それどころか、迷いや揺れが少しも感じられないような、凛とした目で妖精を見ていた。それはまるで、“睨み”とも捉えられるようであった。
「……シルバー……？」
妖精が彼の頬に手を伸ばしたその時、シルバーはその手を強く振り払った。妖精が困惑の表情を浮かべると、シルバーは怒りを帯びた声で妖精に言った。
「……違う。
Aは、おれのことをそんな風に思ってない。Aは、そんな
あまりにも芯の強い言葉に、妖精は思わずたじろいだ。しかし、彼女も負けじと「……どうして分かるの〜？」と煽るような口調で尋ねた。
「だってAは、おれの兄さんだから」
そう即答したシルバーの顔には、Aにそっくりの凛々しさが現れていた。
妖精はシルバーの回答を聞くと、「はぁ……」と大きなため息を吐いた。
「……だから〜、それもアイツの思惑で……」
妖精は呆れたように言った。しかしシルバーは、決してその身を引かなかった。
「前に、Aが言ってくれたんだ。
おれのことを“弟だ”と、“お前が大好きだ”と。
それに、おれのことをオオカミから守ってくれたんだ。
いっしょに遊んでくれたんだ。
剣を教えてくれて、物語も聞かせてくれた。
“お守り”もくれた。
花かんむりも、１輪の花も、魔法のキスも。
それがAの“思惑”だったとしても、これだけのことは、少しでも愛がなければできないと思う。
こんなにも愛してくれる人を、おれは疑えない。
疑いたくない」
シルバーの言葉は、年相応の意味で考えれば、ただ己の尊ぶ者を信じていたいという旨にすぎないと思われるだろう。
しかし、単純な感情にこそ、多くの時間や思い出が詰められているものだ。
シルバーは、Aを想い過ごしたその日々を、言葉という入れ物に溢れんばかりに詰め込んで、彼の愛を軽蔑したような御託を並べる妖精に真っ直ぐに投げつけた。
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..... - 更新はもうされないんですか？ (2022年4月13日 12時) (
レス) id: 4b3179590f (このIDを非表示/違反報告)
南瓜(プロフ) - Mozu.さん» ありがとうございます！！一気読み……！本当に嬉しい限りです！！どうか完結までお付き合い下さいませ！！ (2022年3月9日 22時) (レス) id: 8227ed20e2 (このIDを非表示/違反報告)
Mozu.(プロフ) - 深夜なのに一気読みしてしまいました！！すごく面白かったです！応援してます！！ (2021年12月6日 1時) (レス) @page4 id: 4694592673 (このIDを非表示/違反報告)
南瓜(プロフ) - 海樹さん» ありがとうございます！最近は少し忙しく、なかなか執筆活動に勤しめないのですが、余裕ができればすぐにでも更新しますのでどうかお待ち頂けると嬉しいです！ (2021年11月6日 10時) (レス) id: 8227ed20e2 (このIDを非表示/違反報告)
海樹(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました！南瓜さんの作品大好きです！これからもよませていただきます！ (2021年10月17日 17時) (レス) id: 78c16ccd09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南瓜 | 作成日時：2021年10月10日 2時
