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総統室の前に立ち、ノックを4回する。するとすぐに入っていいと許可がおりる。
『失礼致します。どうなさいましたか?』
「おい、俺は昔みたいに接しろと言ったはずだが」
『…それは出来かねます。私と総統閣下では、身分が違いますので』
「俺がAと対等に接していきたいのだが。何回言わせるんだ。そろそろお前も折れろ」
『っ…』
私は総統閣下のこの考え方は大好きだ。そして総統閣下自身も大好きだ。けれど私なんかが許されるのか。いや、こんな無能に呼ばれてはいけない
「A、命令だ。グルッペンと呼び、敬語を抜け」
低いバリトンボイスで話される。そこには総統たる威圧もあり、ピリピリとした気を感じた。
ここは私が折れるしかないのか。
『わかった、グルッペン。流石に二人きりの時だけやから』
「仕方ない。そこは俺が折れる」
『本題は?』
ここまで聞いて分かったとは思うが、グルッペンはしんぺい神様と同じく名前で呼んでくれる人だ。だが、しんぺい神様とは異なる点がある。それは、
「最近夕食に来ていないが、どうしている」
私と幹部の関係を把握していない所だ。もちろん、眠れないことも、胃が食事を受け付けないことも、ストレスが溜まっていることも知らない。
知らなくっていい。そんな心配などかけたくない。
『毎回しんぺい神様の所に行って貰っとるよ。栄養は大丈夫や。なぜ、は答えとうない』
「そうか。ずいぶんと顔色が悪いが、風邪でも引いているのか?」
『ある意味風邪なのかもしれんな。伝えたいことがそれだけやったら、私帰る』
「待て、そんなわけ無いだろう?Aに朗報だ。明日の業務は城下町の見回りだ。頼んだぞ」
『!…了解』
城下町の見回り。一番好きな仕事である。幸せそうな国民を見ることができ、話せ、触れられる。とても幸せな時間だ。
「A、なにか俺に話したいことはあるか?」
どきり。心臓がうるさくなる。グルッペンにまでバレた?私は大丈夫、壊れてない。だから話すことなんてないんだよ。
『…うーん。特に思いつかないよ』
「そうか!なら良いんだ。Aの顔が少し暗かったからな、なにか悩みでもあると思ったんだが。いつでもいい、話くらいは聞いてやるゾ?大切な仲間だからな!!」
眩しい笑顔を此方に向ける。大切な仲間。その言葉でまだ此処にいても良いんだと思える。グルッペンが望むなら、私はここにいよう。たとえどんなに壊れようとも。
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なつき*俺ナー☆(プロフ) - 子供たちとです^^ (2020年4月24日 13時) (レス) id: 52f2fc1340 (このIDを非表示/違反報告)
あか(プロフ) - なつき*俺ナー☆さん» 返信遅れてしまい申し訳ありません。鬼ごっこ、というのは我々国の子供達とでしょうか?それともタイマンでしょうか? (2020年4月23日 23時) (レス) id: c2b0dfe023 (このIDを非表示/違反報告)
なつき*俺ナー☆(プロフ) - 個人的にぴくとさんの鬼ごっこが見たいです (2020年4月18日 10時) (レス) id: 52f2fc1340 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あか | 作成日時:2019年12月23日 0時