嫌いになりたい【wrwrd!】 (ページ27)

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気がつけば無能なんて呼ばれていて、最初はふざけていると思っていた。だから、笑って返した。

けど一般兵の一人に、無能のくせにヘラヘラ笑っとんとちゃうぞ、お前は生意気だ、上司に向かってタメ口で、親しそうにすんな。と言われた。

言われてみれば、そうだと思って直した。突然敬語にしたものだから、気味悪そうに顔を歪める人や、やめろと言ってくれる人(限られていたが)がいた。でも仕事とプライベートを分けるのは良いことだしやめなかった。

無能と呼ばれるくらいなら良かった。ふざけで言っていると思っていた所もあったから。でもトントンに書類を提出した時の嫌そうな顔や、すれ違った時の表情、無視された時は傷ついた。無能って言ったのはふざけなんかじゃなくて、本心だったんだと気づいた。

そこからは懸命に努力をした。側にいて嫌な顔をされないように、色々なことをやった。書類も自分で見直した。けどその努力は実らなくて、今度は酷い暴言を吐かれるようになった。

たしかここから、食事をとれなくなった。胃に入れても気持ち悪くて、吐き出した。時々、血も吐いてしまった。医学は一度学んだことがあったので、これは病気なんかじゃなくてストレスからくるものだと理解できた。原因は幹部からの暴言だろうなとも予想ができた。

けど、私はこれを治す気なんてなかった。これを治そうとするとここから離れることになると思ったから。離れたくなかったし、行く宛もなかった。

なにより忠誠を誓った本人は何もしていないし、私の心の拠り所でもあった。

でも体は正直で、悲鳴をあげ続けた。

日に日に限界が近づいていっていることなんて自分のことだから分かっていた。

でも、好きだから。何をされてもいいんだ。

そう思っていたのに。

この幸せな空間を久しぶりに味わって、その思いは本当なのか怪しくなってきた。

私も、暴言は吐かれない方が良い。書類を押し付けられない方がいい。本当の自分を出せる人の側にいたい。

影からでも、応援することはできる。

でも、忠誠は？

誓ったんだから、裏切るなんてしたくない。けどあの環境には正直いたくない。

なによりグルッペンは何もしてない。

どうしよう。