嫌いになりたい【wrwrd!】 (ページ22)

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ぴくとくんからの書類もチェックし、もう少し雑談をする。まだ休憩して大丈夫なんだとか。

「あー。まじA癒やしだわー」

『そうなの？でもまぁ、国王やからプレッシャーあるよなぁ。旧知の人とは安心するか』

「んー…ねぇ、このままここで働かない？俺の護衛としてさ」

『え？』

「悪くない話だとは思うんだよね、絶対Aを精神的に傷つけたりなんかしないし、働けるし？」

いやいやいや。それって、我々国を裏切るってことでしょ。そんなのできるわけないじゃん。忠誠だって誓っちゃったし。

「Aが必要とされてないなら、俺が必要。めっちゃ必要。Aなら護衛任せられる信頼があるし、強いし」

確かに、弱いとはいわないけど。いざとなったら鎖引き千切って拷問官殺して逃げようとか考えてたくらいだけど。
必要とか言われちゃったらさ、揺らぐじゃん。

『私は、我々国に必要ないんかな…大好き、なのに』

「…そうだよね。押し付けも良くない。諦めはしないけど頭に入れておいて欲しい。あと護衛なら、我々国との対談で数人とは会えるから」

最後まで本気で揺らしてくる。
ぴくとくんは仕事の時間だ、といつものように笑って退出していった。

我々国には必要なくて、ぴくとくんは必要。ストレスも減るだろうけど、裏切りだ。

同じようなことをぐるぐると繰り返していると、コンコンと窓がノックされる。ひらりと風に乗ったマフラーは紫色で、大好きな顔が此方を見ていた。
私は動けないので、いいよと口パクで伝えると窓から入って来た。

「久しぶり、A」

『＿＿兄さん。ほんと、久しぶり。なんで窓から？許可は？』

「落ち着き。ちゃんと許可は貰っとるし、窓からはそっちの方がかっこええから」

『んふふ、そっかぁ…帰ってきてたんだ』

「まぁ、ぴくと王国に少し寄って帰ろうかと思っとった所。ついでに情報を少し貰ったけど」

『こら。同盟関係にあるんだからすべきことやないやろ』

すまん、と謝る兄さん。全く変わってなくて、会ったのは半年ぶりくらい。今回はわりと短かったんだ。長くて２、３年は帰ってこないから。
兄さんは優しくほほえんで、こう言ってくれた。

「A、お疲れ様。一緒に悩もう」