嫌いになりたい【wrwrd!】 (ページ20)

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誘拐されて早３日。一般情報しか話さない私にイライラした拷問官はナイフを突き立て、爪を剥がし、頑張って情報を吐かせようと必死になった。

だがどうやら殺すわけにはいかないらしく、生存を確認してくる。

今日も何も話さず終わった拷問。監視は付いているが、そんなにキツイわけではない。最初はわずかな音に反応したが、逃げ出す気がないと分かった今監視もゆるくなった。

私はふと目線を上に上げる。すると誰だかわからないがモールス信号で私にメッセージを飛ばしてくる。

〈ＹＥＳなら一秒、ＮＯなら５秒目を閉じて下さい〉

誰だかわからないが、とりあえずＹＥＳと答える。この感じ、我々国の人じゃない。

〈今からAさんを助けます。良いですか〉

ＹＥＳ。

〈我々国のものではありませんが〉

ＹＥＳ。まぁ、助けてくれるのなら。また拷問にかけられたら笑おう。

〈走れますか〉

ＮＯ…筋肉がやられた。爪も剥がれているし。

〈体力は残っていますか〉

ＹＥＳ。こんなのでくたびれるわけがないだろ。栄養は足りてないが何時も通り。

〈今から１０秒後に助けます。その時に監視役を呼び、注意を引いてください〉

ＹＥＳ。

私は言われた通りに監視役を呼ぶ。奴は私に背を向けていたので信号を受け取っていたのに気づいた様子はない。

『あの、すみません』

「…どうした？…うっ！！」

監視役は後頭部を殴られ、気絶した。あれ、相当痛かっただろうな。良い音鳴ったし。
私を助けてくれている人は、深くフードをかぶり、誰かはわからなかった。
そして手際良く牢屋と手錠を外し、私を抱え隠し通路から外に出た。

なんとここまでバレた様子がない。警備ガバガバ過ぎないか？？？

そこから数分走ってくれ、森へ入る。そこからもう話していいと判断したのだろう、走りながらも話しかけてくれた。

「まぁ、ここまでくれば大丈夫でしょ…久しぶりだね、A」

『え…ぴくと、くん？』

私を助けてくれたのは、幼馴染のぴくとくんだった。グルッペン達が国をつくると言って去ったあと、とても仲良くしてくれた人。今は、一国の王様だったような…？

『！…失礼しました、ぴくと王』

「あはははっ！！そんなのいらないって。ぴくとくんって呼んでよ。昔みたいに、さ」

『ふふ、ぴくとくん。王様なのに助けに来てくれたん？ありがとう』

「どういたしまして」

横抱きにされながらも大人しくぴくと王国に向かった。