gからの内通者【wrwrd!】 (ページ22)

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医務室ページ22

あの後、書記長室へ戻れば大層心配された。
グルッペンに何もされていないか、とか。
あった出来事だけを話したが、彼はそれはもう鬼の形相だった。

何に怒っているのかは分からないが、最後に私の頭を撫でて青筋を立てながら微笑んでいた。
それと一緒に、業務を終わらせて良いと言われたのでコネシマさんに言われた通りに医務室へ向かった。

医務室というプレートが貼られた扉を叩くと、返事があったので入る。
そこは軍城の中で唯一の白と言えるであろう場所だった。

sn｢お、来たね。｣

『はい、コネシマさんに言われて。』

sn｢そっか。じゃあここに座ってね。｣

丸い椅子に座ると、彼は何やらピアッサーのようなものを用意した。
これで耳にGPSが入るのか。
国に帰ることがあったら、どうやってそれを壊すか。
明らかに小さそうだし。

sn｢あれ？ピアス空いてるね。｣

『偶につけてて…』

sn｢女の子だもんね。オシャレさんだなぁ。じゃあ軟骨の所に入れよっか。そこなら目立たないし。｣

他愛もない話をしながら進めてくれる。

sn｢ちょっと痛いよー。｣

右耳になにか当てられ、がちゃん、と音がした。
ペ神さんは素早くそれを外し、耳にガーゼを当てる。

sn｢念の為、今日はそれつけといてね。｣

『分かりました。』

sn｢さてと…ここに来たってことはお仕事は終わったんでしょ？夕食の時間までお話しよう？｣

彼の表情は見えないが、微笑んでいるように感じる。
断る理由もなかったので頷いた。

sn｢まだ2日目なのに、すごい馴染みようだよね。さすが人心掌握術の達人、というところかな？｣

『いえ…単に皆さんが優しく受け入れてくださってるだけだと思いますよ。』

sn｢グラシアちゃん、可愛いしカッコイイし。俺も君ならいけそうだなー。｣

『いけそう、とは。』

sn｢俺、男が好きなんだよね。｣

…点と点が繋がった。
なるほど、だから医務室に行きたがる人が居ないのか。
なぜか話を逸らさなくては、と本能的に感じる。

『そういえば、初日に背中をさすっていただきありがとうございました。』

sn｢俺の仕事みたいなものだし、大丈夫だよ。トラウマを思い出させた俺らが悪いし。｣

雑面に書かれた文字のような人だな、この人。
私は曖昧に微笑む。