No.294 ページ3
「君が勝てば白鯨は好きに動かせ。だが俺が勝てば、君は俺に服従し、捜し物を手伝ってもらう」
椅子から離れ、敦と椅子の間に横たわる距離と同じだけの距離を取るフィッツジェラルド。
そして、彼はカウントを始めた。
「1」
(どうする……)
敦は思考を巡らせた。
太宰や時祢への連絡手段が無い今、判断を下すのは自分だ。
素直に勝負に乗り、合図と共に走り出すべきか否か。
そして、彼の組合への不信感がその答えを決めた。
(裏をかいて合図より前に奪い、そのまま逃げる！)
「2」
そうカウントされた瞬間、敦は強く地面を蹴った。
彼の体が地面から離れた、その時。
フィッツジェラルドの膝蹴りが、敦の腹部へと叩き込まれた。
敦の口から赤い飛沫が飛び、その体は轟音を立てながら背後の壁を砕く。
「３」
平坦な声のカウントが響く。
敦は拳を握り、悲鳴を上げる躰を無理矢理に起こした。
四つん這いになりながら、口から血が多分に混じった唾液を吐き出す。
「秘訣その三、『
「く……！」
フィッツジェラルドはネクタイを整えながら云う。
敦はふらつきながらも足に力を込め、立ち上がった。
「ほう、今の蹴りでも倒れんか」
面白そうに云うフィッツジェラルド。
彼は靴音を鳴らしながら敦の方へと歩く。
「大したものだ……運命に抗い、血を吐いてなお立ち上がる少年。俺の若い頃を思い出す。いいだろう、一万では失礼だったな」
フィッツジェラルドはポケットの中に手を入れ、紙の束を取り出した。
「これは、俺が所有する有価証券だ。総額十万ドル」
有価証券を手にしたフィッツジェラルドが、殺気に似た何かを放つ。
「俺の異能、紹介がまだだったな……？」
本能的な危機感が、敦に走る。
フィッツジェラルドが、手に持ったそれを宙へとばら蒔いた。
＿＿＿＿＿＿＿＿フィッツジェラルド 能力名『
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凛(プロフ) - 仍さん» お祝いのお言葉有難う御座います！このシリーズでも楽しんでいただけるよう頑張らせていただきます！ (2019年8月11日 18時) (
レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
仍 - とても、遅くなりました！続編おめでとうございます！ (2019年8月11日 18時) (レス) id: 748d83af02 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - りんさん» コメント有難うございます！そして祝ってくださり有難うございます……！続編でも楽しんでいただけるよう頑張らせて頂きます！ (2019年7月19日 23時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編おめでとうございます続き楽しみにしてます (2019年7月19日 23時) (レス) id: bd39a087a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛 | 作成日時：2019年7月19日 23時
