No.302 ページ11
「力は弱者を助ける為にあるのではない」
フィッツジェラルドは眉を吊り上げながら敦を見下ろした。
「何故なら金儲けの本質は弱者搾取だからだ。それで得た金を弱者を助ける為使っても、ドアをスイングするのと同じ反復行為だ。力はもっと有意義なことに使わねばならん」
「……そのために踏みつぶされる命は……見ない振りか?」
切れた口端から血を流しながら、敦は口を開いた。
フィッツジェラルドが僅かに唇の端を釣り上げる。
「踏みつぶされる弱者というのは、たとえば昔の君のような?」
「!!」
敦の目が大きく見開かれた。
彼の網膜に映るのは、過去の自分。
暗い部屋で鎖に繋がれた。
水が入った盥に顔を押し付けられた。
冷や汗が流れ、鼓動が早まる。
そんな敦に、フィッツジェラルドは淡々とした声を投げ掛けた。
「君の過去は調べた。君は幼少時代、二度殺されかけているな。孤児院の院長に。肋骨が折れるほど蹴られた時、院長は言ったそうだな」
________『実の両親が赤子の貴様に為た事に比べれば、この程度暴力の内にも入らん』
フィッツジェラルドの声に、かつてその言葉を己に向けた人物の声が重なって聞こえた気がした。
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凛(プロフ) - 仍さん» お祝いのお言葉有難う御座います!このシリーズでも楽しんでいただけるよう頑張らせていただきます! (2019年8月11日 18時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
仍 - とても、遅くなりました!続編おめでとうございます! (2019年8月11日 18時) (レス) id: 748d83af02 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - りんさん» コメント有難うございます!そして祝ってくださり有難うございます……!続編でも楽しんでいただけるよう頑張らせて頂きます! (2019年7月19日 23時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編おめでとうございます続き楽しみにしてます (2019年7月19日 23時) (レス) id: bd39a087a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作成日時:2019年7月19日 23時