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No.08 ページ10

「何で手前が女の餓鬼なんか連れてンだよ」



「此の子が私の妹だからだよ」





私を睨んでいた中也は数秒固まり、ゆっくり時祢に視線をやった。



時祢は少し不思議そうに中也に視線を返す。





「時祢、自己紹介して御覧?」





私の言葉に、時祢はこくりと頷いた。



そして中也に向き直る。





「太宰時祢です」



「お、おう…………俺は中原中也だ」



「中也さん」





時祢は確かめるように云った。



“さん”なんか付けなくて良いのに。



中也は信じられないとでも云うように私と時祢を見比べる。





「………本当に手前の妹か?見た目以外全く似てねぇ」



「正真正銘妹だよ。可愛いだろう?」






私は時祢を抱き上げた。



かなり軽いので、片腕で事足りる。



時祢は驚いたように瞬きした。





「云っておくけど、中也はあまり近付かないでね。チビが移る」



「ンだと此の兵六玉が!」





青筋を浮かべて食って掛かってくる中也。



私のからかいに易々と乗ってくるのは何時ものことだ。





「何時か時祢にも抜かされるんじゃない?」



「抜かされねえよ!」



「でも、時祢は私の妹だよ?」





中也は渋面で沈黙した。



私の身長の伸びが時祢にも適用されているなら、中也を越える可能性は充分だ。





「私の妹に見下ろされる中也っていうのも面白そうだよね」



「全く面白くねェよ!」



「却説、時祢。もう行こうか。何時までも蛞蝓に構ってられないよ」



「こんのクソ太宰……!」





拳を震わせる中也。



不意に、時祢が私の腕から降りた。



そして中也の前に立つ。





「中也さん、さようなら」



「………おう。またな、時祢」





中也が軽く時祢の頭を撫でる。



私は今度亦中也の帽子に悪戯しておくことを決意し乍ら、時祢と共にその場を後にした。

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麗葉 - 大好きすぎて気づいたら四回も?読んでました(笑)体調に気をつけて頑張ってください! (5月2日 21時) (レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫好きさん» 本当にそうよねえ奥さん←←もう先生は私を苦しめようとして来てるとしか思えないですよ…小学校卒業して「よっしゃマラソン大会無い!」からの長距離走があった絶望感…(´・ω・`) (2019年1月1日 23時) (レス) id: 424c23822c (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - ホントですよ…マラソン大会とかは真面目に荒そうかと思いましたよ…ホント、やぁねぇ奥さん← (2019年1月1日 20時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫好きさん» 大丈夫ですよ!立ち眩みは現在学生の私でも日常茶飯事ですから…………orz 体育の長距離とか本当にもう……………………殺しに来てますよ…(´・ω・`) (2019年1月1日 14時) (レス) id: 3546326a0b (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - 1km全力疾走?アハハ…知らないの?僕ヒキニートだから歩くだけで立ち眩みするのw( °∇^)] (2019年1月1日 13時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年8月14日 11時

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