検索窓
今日:1 hit、昨日:52 hit、合計:741,236 hit

No.35 ページ37

「……ん…。」





目を覚ました時祢は、優しく頭を撫でる手の主を見た。



紅葉は美しく笑う。





「おお、時祢。目が覚めたか」



「うん。お早う、紅葉姐さん」



「嗚呼、お早う」





時祢は起き上がった。



薬品の匂いが鼻を突く。



其処は、ポートマフィアの医務室だった。





「治お兄ちゃんは」



「地下じゃ。時祢を襲おうとした下郎に情けは要らん。こんな痕まで付いてしまって…可哀相にのう」





紅葉が眉を顰めて時祢の腕に巻かれた包帯を撫でる。



如何やら掴まれた痕が残っていたらしい。



時祢は包帯を見詰め、次に自分の頸に慣れ親しんだ重さが在ることに気が付いた。



任務中は外していた筈だ。





「其の首飾りは太宰が御主に着けさせておいてくれと渡してきた」



「そう」





紅葉の言葉に時祢は納得したと云うように頷いた。



最近は夜以外常に着けていたので、其の重さに安心する。





「恐らくもう直ぐ太宰も戻るじゃろう。報告は明日にして、今日は休め」



「うん。有り難う」





少し二人で御茶を飲んでいると、太宰が来た。



時祢は湯飲みの中の御茶を飲み干し、立ち上がる。





「時祢、帰ろうか」



「うん。紅葉姐さん、さようなら」



「嗚呼。亦明日逢おう」





紅葉の部屋から出ると、太宰は時祢を抱き上げた。



時祢は少し驚いた様に目を瞬かせたが、太宰の目を見てそのまま身を委ねた。



彼の瞳は、不安のような、後悔のような色に染められていた。

No.36→←No.34



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (585 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
897人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

麗葉 - 大好きすぎて気づいたら四回も?読んでました(笑)体調に気をつけて頑張ってください! (5月2日 21時) (レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫好きさん» 本当にそうよねえ奥さん←←もう先生は私を苦しめようとして来てるとしか思えないですよ…小学校卒業して「よっしゃマラソン大会無い!」からの長距離走があった絶望感…(´・ω・`) (2019年1月1日 23時) (レス) id: 424c23822c (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - ホントですよ…マラソン大会とかは真面目に荒そうかと思いましたよ…ホント、やぁねぇ奥さん← (2019年1月1日 20時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫好きさん» 大丈夫ですよ!立ち眩みは現在学生の私でも日常茶飯事ですから…………orz 体育の長距離とか本当にもう……………………殺しに来てますよ…(´・ω・`) (2019年1月1日 14時) (レス) id: 3546326a0b (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - 1km全力疾走?アハハ…知らないの?僕ヒキニートだから歩くだけで立ち眩みするのw( °∇^)] (2019年1月1日 13時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2018年8月14日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。