第17話 ページ18
気がつけば怒涛の自己紹介も終わり、ミーティングも終わっていた。ぞろぞろとチームメイトがミーティングルームから去っていく中、どうしたらいいかわからず立ち尽くしていた私に林野先生が声をかけてくれた。
「天羽さん、あなた初日で施設の場所とかわからないでしょ?案内係が必要ね…ええっと」
『あの、今日は体調が優れないので後日がいいのですが…』
「そうなの、大丈夫?気付かなくてごめんなさい、一人で部屋に帰れる?」
『大丈夫です』
「そう?無理しちゃダメよ、何かあったらすぐ言ってね」
『はい、ありがとうございます』
ペコリとお辞儀をして、ミーティングルームから出た。さっき来た道を辿っていって一瞬迷いそうになったけどなんとか与えられた部屋に戻ることができた。
倒れ込むようにベッドに身を預けると、少しだけホコリっぽい匂いが鼻を掠めた。エアコンはあるけど窓がなくて換気ができないため、快適には過ごせなさそうだ。
はぁ、とため息をついて仰向けに転がった。今すぐにでも寝てしまいそうだ。
そういえば食事はどこで摂るのか聞いてなかった。食欲を意識した途端に、お腹がキュゥっと切なそうな音を出し始めた。
(お腹すいたなぁ……)
誰かに食堂の場所を聞かなければならないのに、瞼はゆっくりと下がっていく。眠気に耐えようとするも、呆気なく睡魔に負けた私はそのまま深い眠りに落ちた。
…………………………
ドンドンドンドン!
『ひゃぁぁあ!?』
大きな音に驚いて飛び起きた。びっくりして放心していると、また扉の方から強めのノックの音が聞こえてくる。
慌ててベッドから降りて小走りで扉へ向かった。
鍵を開けて、ドアノブを捻ってそーっと外を伺うと、今朝に別れたはずの白竜さんが立っていた。少しだけ苛立っている様子に、なぜ彼が怒っているのかわからず眉間に皺を寄せてしまう。
『白竜さん…?何の御用で』
「おい、今何時だと思う?」
『えっと、何時…でしょう…?午後12時頃?』
「………夜の7時だ」
『えっ!?』
(待って、ミーティングが終わったのは大体午前11時半くらいだった…ってことは…!)
『ね、寝ちゃった…!!』
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作者名:アスター | 作成日時:2022年8月8日 17時