85 (黒い、人だ) ページ35
え。
こんちゃんが発した言葉に思わず固まる。
ほかのものが、すぐそこにおります
ほかのもの、他の、者、って、
(この本丸の、神様のだれかってこと？)
絶対そうだ。三日月様が笑ってない。
彼の手が刀に添えられるのを見てから、彼らの目線の先を辿る。…そこは、あたし達が今立っている縁側の横に広がっている庭…とは到底呼べない荒野の中だった。果たしてそこに、…その“誰か”はいた。
｢、｣
こんちゃんは、すぐそこって言ったけどあたしから見ればかなり向こうだった。もう数十メートル先くらい。でもあたしの周囲の空気が彼らの緊張で明らかにピリついてるのが分かって、あたしはただ、その“誰か”を見ながら困惑しか出来なかった。
なんだろう、黒い、人だ。
この距離でも分かるぐらい白い肌、それ以外、みんな真っ黒だ。髪も、服も、足元まで全部。
その神様は、その距離を保ったまま、気付いたあたし達をじっと見つめ続けている。
｢よりによって、｣
こんちゃんが小さく呟いた。よりによって…ってことは、厄介な、神様なんだろうか。確かに最初にも、気の荒い男士に気づかれたら、ってこんちゃんが言ってたけど。でも、あの神様…全然、動かないよ？
うごかな
｢っ！？｣
一瞬だった。
その黒い神様が、足を少し上げたのを見た次の瞬間、三日月様があたしの肩へ手を伸ばしてかき抱いた。
それにびっくりして瞬きした刹那、さっきまで向こうにいたその黒い人があたし達の眼前にいた。
｢…、｣
あまりの驚きに声が出ない。え、なに、瞬間移動、
トン、と片足から降り立って目の前に迫ったその神様は、真っ黒な装束とそれに付いてる金色の鎖をカチャ、と鳴らしながらあたしをじっと見ていた。
笑ってる。すごく不敵に。
(この人やばい)
分からないけど、本当に何でか分からないけどそう察知して、三日月様が彼を阻むように掴んでいるあたしの肩が震え出す。
｢ははっ｣
ついには固まってるあたしに吹き出したその神様は、周囲に目線をやることもせず、あたしの体の真隣で鳴った、三日月様が刀を抜きかけた音にも構わずに、ゆっくりあたしへ歩み寄ってきた。
屈むようにして、至近距離であたしと目と目を合わせたその真っ黒な神様。その、金色の目。でもその中に感じる、取り返しがつかないと、そう確信する濁り。
｢こりゃ驚いた｣
低い声でそう言い放った神様に、ぞっと全身に鳥肌が立った瞬間、一回きりの瞬きで、彼は、また消えた。
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鳥(プロフ) - 読者様 一つ一つにお返し出来ずすみません！コメントありがとうございます！(三)についてですが、推敲が終わったところから随時公開しております！またお時間空いたり思い出して頂けた時に読んでもらえたら嬉しいです。遅筆ですが楽しんで書いております (7月7日 10時) (
レス) id: 4bf57b87a0 (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - 初めまして！一気に見させていただきました。とても面白いです！そして続きが気になります。パスワードおしえていただけないでしょうか？ (6月18日 13時) (レス) @page50 id: 673a00a1b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ＠前垢消えた(プロフ) - 続き楽しみにしてます！！！！！ (4月28日 13時) (レス) @page50 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
テオ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。ここまで読ませていただき本当に面白いと感じました。表現の仕方がとても好きでストーリーも最高です。推敲が終わるのをとても楽しみにしています。無理のない程度で頑張ってください💪 (4月27日 14時) (レス) id: 85b09c3093 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 始めまして！クロです凄く面白くて続きが気になるのでパスワード教えてくださいm(._.)m (2023年3月30日 1時) (レス) @page50 id: 16daf975b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥 | 作成日時：2020年2月24日 20時
