72 「呪いは健在のようだ」 ページ22
「は、?」
三日月様がその扉に触れた瞬間、彼の指先から、とてつもない速さでビシビシビシビシッ!と切り傷が走っていく、え、なに、服まで切れて、腕ぜんたいがまってちょっとまってなにやってんのまって
「ちょっと!」
慌てて三日月様の腕を掴んで扉から遠ざけた。
彼の左腕はあっという間に深い切り傷でいっぱいになって、ぽた、ぽた、と廊下の床に血が滴った。
「…ぇ、は?」
「ふむ、」なんて言って、自分の手相でも見るみたいな何でもなさで、その血だらけになった腕を眺めやった三日月様は、「呪いは健在のようだ」なんて言う。
「の、ろ」
「…前の主は、…俺たちが勝手に治ることや、そう願うことを許さず、ここに近寄る者には破壊の罰として、…扉に呪いをかけたのだ」
触れた者はみな、ここで壊れる。そう言い添えた三日月様の言葉に愕然とした。え、てことは、前のヤツは、治りたいって思うことすら禁止してたの?苦しくて仕方ない病人の人が病院の扉ドンドンて助けてくださいって叩いたとしたら、入れることは愚か、その場で殺そうとしてたってこと…?
、
「…〜!!」
かああっと熱くなった頭と一緒に、扉に向かってずんずんと歩いたあたしは、がっと1番端の札の角に爪を突っ込んだ。あ、と思う。やっぱり。
あたしの身には何もない、あああほんとに腹立つな前のヤツは!!!
はっと息を呑んだこんのすけさんの声を合図に、貼ってある札の1枚を思いっきりひっぺがした。立て続けにあとの2枚も全部剥がして、忌々しいその札をビリビリ!と破り割く。
「…っ、」
「だ、大事ありませぬか!?」
「、大丈夫、ちょっと目眩した」
破った瞬間視界がぐらついたけど耐えた。うん、でもやっぱり感じる。感じるわ嫌な感じ。モヤモヤした不快感。頭ちょっとクラクラするし重い。あとこの、黴(かび)…?閂と扉の部分部分に黒ずんだ靄みたいなのが見える。これ、最初の審神者部屋でも、ここ来る途中でも見えたやつだ。
「ねえ、こんのすけさん、この黒いカビみたいなの何、?」
「…それが、前の主様のかけられた呪いと、刀剣男士達の穢れによる残存のようなもので御座います…我々には、朧気にしか見えませぬが、…」
「そっか、悪影響なんだね。じゃあこれある所は、みんな近付けない方が良いね」
ふう、と大きく息を吐いて、目眩が完全に収まるのを待ってから、重い閂を力一杯掴んで、んんっと苦労しながらも、何とかそれをガコン!と外すことに成功した。
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鳥(プロフ) - 読者様 一つ一つにお返し出来ずすみません!コメントありがとうございます!(三)についてですが、推敲が終わったところから随時公開しております!またお時間空いたり思い出して頂けた時に読んでもらえたら嬉しいです。遅筆ですが楽しんで書いております (7月7日 10時) (レス) id: 4bf57b87a0 (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - 初めまして!一気に見させていただきました。とても面白いです!そして続きが気になります。パスワードおしえていただけないでしょうか? (6月18日 13時) (レス) @page50 id: 673a00a1b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ@前垢消えた(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!!!! (4月28日 13時) (レス) @page50 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
テオ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。ここまで読ませていただき本当に面白いと感じました。表現の仕方がとても好きでストーリーも最高です。推敲が終わるのをとても楽しみにしています。無理のない程度で頑張ってください💪 (4月27日 14時) (レス) id: 85b09c3093 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 始めまして!クロです凄く面白くて続きが気になるのでパスワード教えてくださいm(._.)m (2023年3月30日 1時) (レス) @page50 id: 16daf975b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳥 | 作成日時:2020年2月24日 20時