27 ｢………、……最低じゃん……｣ ページ27
｢…。あたしの、その…霊力が、ここにいたあたしの力を、…何だろう、消してるってこと？｣
｢…、その、通りにございます｣
狐さんは、ずっと視線を泳がせてる。あたしと会話してる…というか、出来ることにも、逐一驚いてるみたいだ。ぎゅ、と口を引き結んだあと、話し始めたこんのすけさんは、まるで、自分自身にもひとつひとつ確認を取るように、話しかけてるみたいだった。その様子から、このこんのすけさんにとっても、この現実が、未だ、とてつもなく、信じ難いもんなんだ、って伝わってきた。
｢、貴方様は、間違いなく、昨日までここにいた方とは、別の御方なのでしょう…。しかし、お持ちになっている霊力の大きさは、…私には、それが分かるのですが…変わらぬ、強いもののようです、｣
｢…｣
｢ただ、主様と、貴方様の霊力は、真反対のものと言って良い程、その在り様が違います。…主様の力は、他者に苦痛を与えることに重きを置いたものでした…。貴方様の力は…まるで、思い出されたかのように、何物も苦しめることなく、…安定しております｣
他者に、与える苦痛。そのワードに思わず眉根にしわが寄る。
｢…ここにいた、…この世界にいた元々のあたしは…自分の力を、こんのすけさんとか、…あの、と、刀剣男士さんたちを、傷つけることに使ってたってこと、？｣
｢…、｣
｢……さ、｣
｢……｣
｢………、……最低じゃん……｣
｢っ、｣
思わずそう言ってしまった。自分でもこんな声出るんだって思うぐらい冷たくて、低い声が出た。あたしのその声色に、こんのすけさんが体全体でびくつくのを目で捉えて、唇をかんだ。はっきり言って、このこんのすけさんのことを思うと、………どんどん可哀想で見てられなくなってくる。
今も、自分の身を案じることに精一杯なのは変わりないけど、傍にいる誰かに、感情ぐらい湧く。
端から端まであたしの常識を全部ひっくり返さなきゃ理解できない事案だけど、それでも、だ。それでも、あたしが見てるこんのすけさんの存在も、傷も(血も)、声も、それら全部が物語ってるいかにも深刻で、簡単に踏み入れない類の過去の気配も、……確かに本物だ。
ここにいたあたしは、最低最悪の女だったんだ。今ではそれがありありと分かった。実際、その現場を目の当たりにしたわけじゃないけど、今まで映画とか、漫画で見てきた超能力を持つキャラクターたちの知識で、そんな力を悪い方向に使ったら、どんなふうになるかなんて易々と想像できた。
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ゆり - 面白かったです！！続編も気になります。見てみたいのでパスワード教えて下さい。お願いします(＞人＜;) (2022年5月4日 17時) (
レス) id: a0139c2d82 (このIDを非表示/違反報告)
plus__m(プロフ) - 登場人物達の感情や情景がとても細やかに書かれていて、読んでいるだけなのにその場を身をもって体験しているような気持ちになってとても面白いです！特に緊迫したシーンは息が止まっていることも忘れて読んでました笑。続編の加筆修正終わるのを楽しみにしております！ (2022年4月19日 20時) (レス) @page50 id: 5adad14c72 (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね、この作品！続き、楽しみに待っております！ (2022年3月30日 20時) (レス) @page50 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続編のパスワードってなんですか？気になるんですがパスワードが分からなくて読むことができません！教えてくださいm(*_ _)mm(_ _)m (2022年3月25日 22時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - 鳥さん» 続編おめでとうございます！！！絶対絶対絶対×∞に夜見に行きますので！！！ (2020年2月26日 7時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥 | 作成日時：2020年1月29日 3時
