26 ｢血が、止まったのです、｣ ページ26
｢霊力を、お使いになったことが、あるのですか…？｣
こんのすけさんは、あたしにちょっと質問することにすら、振り絞る程の勇気が必要らしかった。と、その声色からなんとなく察することが出来たけど、それには触れずに、あたしは速攻で首をぶんぶんと横に振った。
｢え…いや、ない。ないない！むしろ、あたしに霊力とか、今も信じてないよ、そんなの持ってるわけないもん｣
｢…｣
｢だから、…そもそも使っちゃダメって言われる以前に、どうやったら使えるのかすら分かんないんだよね、｣
力使うの危険とか注意されたけど、まずその使い方とかましてや出し方…、……いや、そもそもその存在自体すら全くと言って良いほど理解出来てない。というか信じられないに近い。
霊力ってつまり…あたしのいた世界でいう、超能力、みたいなものだよね？
あたしもその霊力ってやつをもってる人間…らしい。試せるもんなら今すぐ、その霊力ってやつ、使ってみたいけど、使うな危険って言われちゃったら、どうしようも出来ない。ならいいや。と、もうあたしは開き直ってた。
別世界のあたしの箪笥を勝手に漁って、そこで発見した最悪な趣味の服に唖然としていたとき、再び足元からこんのすけさんの声が小さく聞こえた。
｢…、のです｣
｢え？｣
｢血が、止まったのです、｣
手を止めて、こんのすけさんを見ると、いつの間にかその狐さんはあたしの傍に来て俯いていた。
｢…へ？｣
｢…貴方様が、…意識的に、行ったのかと、｣
｢…、いしき、てき…？｣
言われたことがすぐ理解できなくて、言葉を何とか脳味噌に着床させる。こんのすけさんの血が止まった。言葉の意味が理解できたと同時に、暗がりの中で身を竦ませて座ってるこんのすけさんの変化にはっと気づいた。
(たしかに、息も、最初あったときの、あんなぜえぜえなやつじゃなくなってる)
｢あんなに酷かった血、止まったの？｣
｢は、はい｣
そのとき、あたしの心に一瞬で、安堵が過ったけど、言葉に出す前に、疑問の方が先にその感情を追い越した。
｢………え、な、何でだろ…？あたし、何にもしてないのに、｣
｢、｣
こんのすけさんは考え込むように、またしばらく黙って、｢もしかすると、｣と続けた。
｢貴方様の霊力が、無自覚に、前の審神者様の霊力を…中和しているのかもしれませぬ…｣
｢ちゅうわ…？｣
ち…中、和……。中和ってことは、
27 ｢………、……最低じゃん……｣→←25 (偉い！あたし本当に偉い！)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 797人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆり - 面白かったです！！続編も気になります。見てみたいのでパスワード教えて下さい。お願いします(＞人＜;) (2022年5月4日 17時) (
レス) id: a0139c2d82 (このIDを非表示/違反報告)
plus__m(プロフ) - 登場人物達の感情や情景がとても細やかに書かれていて、読んでいるだけなのにその場を身をもって体験しているような気持ちになってとても面白いです！特に緊迫したシーンは息が止まっていることも忘れて読んでました笑。続編の加筆修正終わるのを楽しみにしております！ (2022年4月19日 20時) (レス) @page50 id: 5adad14c72 (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね、この作品！続き、楽しみに待っております！ (2022年3月30日 20時) (レス) @page50 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続編のパスワードってなんですか？気になるんですがパスワードが分からなくて読むことができません！教えてくださいm(*_ _)mm(_ _)m (2022年3月25日 22時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - 鳥さん» 続編おめでとうございます！！！絶対絶対絶対×∞に夜見に行きますので！！！ (2020年2月26日 7時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鳥 | 作成日時：2020年1月29日 3時
