落としたノートは知っている

第17話 ページ17

『私の家、ここだよ。送ってくれてありがとうございました。』

「ん。」

あれから、なんだかんだであっという間に私の家。


最初、怖いイメージしかなかった花君だけど、ほんの20分程で、ちょっと不思議で、でも優しい人だってことがわかった気がする。

「じゃあ、私行くね。花君、ほんとにありがとう！」


そう言って、もうお別れ。するはずだったのだが、、




『待って。』

小さくてもよく通る声の花君の声が、あたりに響いた。
私も、もうほとんど家に入りかけていた体を、花君の方に向ける。

「どしたの？」

なんだろ？

はっ！もしかして、ノート返してくれるとか？！それだったら大歓迎！

『…あのさ、えっと、』

「ん？」

『あの、その花君って呼ぶの、』

あ！今気づいたけど、花君って名前で呼んでた！
嫌だったのかなぁ、

『……彩、』

え？

『…だから、俺も彩って呼びたい。』

うえぇ？

「あの、えっと、よ、呼んでください！」

『ん、ありがと。彩。』

そう言って、ふわっと笑った花君。

か、かわいい……！

綺麗な顔がクシャッと崩れ、大人びた雰囲気が、一気に年相応の雰囲気になる。

花君って、笑うと可愛いんだなぁ。

『…俺もう行く。』

「うん。また明日ね！」

『あぁ、また明日。』

やっぱり花君っていい人だ！

そうなると、何としてでもKZに入れてあげなきゃ！

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