恋なんて、甘いもんじゃない。【短編集】

結婚願望【幸村精市】 ページ2

幸「おはよ、A」
貴「おはようございまーす、部長。出勤早いね」
幸「何言ってるの？もう８時だよ」




え、マジか。


パッと顔を上げた私の目に入ったのは、午前８時をさす壁掛け時計。


貴「...今すぐ仕事に取り掛からせて頂きます」
幸「うん、そうしよっか」







ここは神奈川県横浜市のオフィス街に建つビルの中。

私たちが勤める会社の神奈川支部。

今先程絶賛爆睡中だった私の睡眠時間を奪ったのはここの支社長、幸村精市。

え、馴れ馴れしいって？


一応同期＆同い年+仲は良い

因みに支社長なのに部長と呼ぶのは、こいつが部長だった時の癖。




貴「ねー部長、結婚しましょ」
幸「Aに女子力があったら考えるよ。少なくとも残業で徹夜してる内はムリ」
貴「ちぇー、ケチ」




私が幸村に結婚を迫るのは日常茶飯事。

いや、私も２６だよ。
結婚願望の一つや二つはありますわ。



まぁでも私が幸村に結婚迫ってんのはただのノリ。

実際結婚しようなんて一ミリも思ってない。

仲は良いけど、それも同期だから安心感あるってだけ。





はい、時は過ぎてお昼休み。

今私は修羅場でございます。


「あのっ、私、ずっと前から幸村さんが好きだったんです！」


可愛らしく照れて告白するのは同期の可愛い女性。


「ごめんね、その気持ちには応えられないよ」


申し訳なさそうに断るのは、部長、じゃない、支社長幸村精市。


どんな何処のどいつが告ろうと、綺麗な営業スマイルでキレイさっぱり振る王子様。


何故振るのかは謎。


「そうですよね、ごめんなさい。最後に一つ良いですか？」


まだ引かないか！？

あの子凄いな。

まぁ、今思い出したけどあの子社内でも評判の可愛い子肉食系じゃないか。


「幸村さんが全部断っているのって、Aさんと付き合ってるからって、ホントですか！？」


え、何言ってんの？


「ﾌﾌﾌそれはどうだろうね？」


え、お前も何言ってんの？


そっんなわけないじゃん！
天下の幸村様だよ！？私なんか視界にも入らないよ！？


ね、考えなおしてみよ！


「えっと、それは、どういう？」


ほら、この子もフリーズしてるやん！


「ﾌﾌまぁ、ホントは、__________」


え？最後何て言った！？聞こえなかったよ！？please one more!

私が一人でフリーズしていたら、


幸「こんなところで何してるの？A」

部長様登場しちゃった。


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