課長がお呼びです。 (ページ28)

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「はい。
社内報の自己紹介の、
好きな女性のタイプに載ってました」

適当に答えたんちゃう？

覚えないし。

なんでそんなんチェックしてるねん。

AA、って、フルネームで呼びかけて。

「Aは？
どんな男が理想なん？」

呼び捨てにする。

ちょっと、緊張したわ。

答えは、
イケメンで金持ちやろ？

「私は・・・
理想はとにかくひたすら真面目で優しくて、
裏切らない、
人の良い人がいいです」

予想外の返事やな。

それ、俺とは違うし。

もしや。

会社におる時の俺を、
ほんまの俺やと思ってる？

真面目で堅物で。

演じてるだけやのに。

こいつ、俺をひっかける言うてたけど。

そんな感じが全然せえへん。

自惚れかもやけど。

ほんまに恋されてる気がしてくる。

これも、芝居なら。

今すぐ女優になれそうや。

「あ、でも。
理想と現実は違くて。
ちょっと怖くても。
好きです」

えっ・・・

それって俺のこと？

やんな？

最近、感情の赴くままに、
こいつに当たり散らしてたし。

こんな自分の感情揺らされるん、
初めてやねん。

なんでか理由が分かれへん。

ただ嫌いなだけなら。

伊藤莉菜かって、おんなじ筈やのに・・・

あの子には、なんも感じひん。

こいつ、俺がどんなに怒ってても、
きつく当たっても、
穏やかにわろてたっけ。

全部、俺を落とすための、
演技やって思ってた。

「あっ、あの。
好きっていうのは、そうじゃなくて。
いや、そうなんですけど」