課長がお呼びです。

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私の返事に、
満足そうに笑って、


「チョコ、これでしょ？」


私のロッカーから勝手に紙袋を取り出した。


「はい、行ってらっしゃい！」


莉菜が背中を押してきて。

チョコの紙袋持って、
オフィスに戻る。

もう誰もいない。





錦戸課長は、今度のイベントの資料に目を通してるみたい。

メガネの奥の伏せた目が真剣で。

息飲むようなかっこ良さ。


声かけるのも忘れて、
立ち尽くして見つめてて。


不意に錦戸課長が顔あげて、
私を見るから、
びびった。


けど、錦戸課長は、
私よりも驚いてぎょっとしてる。


「お前。
おるんなら言えや」


呼びつけたのは、錦戸課長なのに。


「今度のイベントの来場者プレゼントのサンプル、
どれとどれがええと思う？
いっつも、化粧水と乳液やろ。
なんか違うもんのがええかな」

私に意見を求めてくれてる？


「はい、あの。
もらえるなら何でも嬉しいですけど。
案外クレンジングや洗顔フォームなんかも嬉しいかなと。
あとはグロスとかマスカラとか・・・。
メイクレッスンで使ったものをそのまま頂けたら、帰ってからも練習出来るかもです」


なんなら、なんでもただでもらえたら嬉しい。


「なんでAが客みたいな言い方してんねん。
うちは３０代40代以上の大人の女性をターゲットにしてるけど、
まあ、若い子も取り込んでけたらええよな」


私の意見をメモしてくれたことに、
畏れ多くて、
茫然自失状態。

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