課長がお呼びです。 (ページ12)

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「A、今日、残れや。
この資料手直しするからな」

そう言ってきて。

『錦戸課長、
今日、お話があります。
お時間もらえませんか？

A♡ 』

メモ書きのポストイットを、
慌てて剥がした。

ピンクのハートマークは、私が書いたんじゃなくて。

莉菜が付け足したもの。

「返事は？」

黙ってる私に、
錦戸課長がイライラして聞いてくる。

超、高圧的。

怖い怖い怖い。

「はいっ。
かしこまり」

緊張のせいで、変な返事しちゃった。

「何がかしこまりや。
ふざけてんのか」

やっぱりまた、冷たい目でぎろって睨まれる羽目に。

怖いからすぐに退散。

息が出来ない。

呼吸困難で死にそう。

デスクに戻ったら、

いつも優しい森島さんが、
声かけてくれた。

「今日、用事ある？
みんなで飲むんだけどどう？」

って。

錦戸課長とはえらい違い。

「いえ。
今日はちょっと・・・」

錦戸課長に仕事を押し付けられてるとは、
言いにくい。

「バレンタインだもんな。
やっぱりデートとかある？」

なんか勘違いされてる。

「いえ、そういうわけではなくて。
徹夜明けで寝不足で・・・
すいません。
また誘ってください」

なんかヘンテコな断り方しちゃって、
またまた落ち込む。