どれだけアピールしても好意に気づいてくれない件【五条悟】

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『あっ、おかえりなさい。悟様』



五｢タダイマ....｣




なんかAと顔を合わせづらい。
今こいつの顔を見るとあのことを思い出してしまうからだ。


そんな俺の思いも知らずに、Aは微笑みながら俺の前に立ち、鞄をお持ちしますと手を差し出してくる。



そして俺はふと思った。
この差し出されている手を握ったらどうなるだろうと。


今思えば頭がおかしい発想だけどこの時の俺は思考回路がバカになっていたのだろう。
今恥ずかしい思いをしているからもう怖いものなんてないだろうという思考で、本来なら俺の鞄を持つはずだったAの手を握った。



『きゃっ、悟様ったらもう....』



俺の頭の中のAは顔を赤らめてこう言ったが、現実のAは顔を赤らめるなんてことはせず、真顔で言った。


『あっ、いえ違います。鞄です鞄』



五｢...............俺は疲れてんだよ！！！もっと労れよ！！！｣



『す、すみません...？』



恥ずかしいがさらに重なった俺はもうヤケクソだった。意味不明なことを言い、そのままAの手を引き俺の部屋へ向かった。

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