交錯する線 part 2 【Kento】 (ページ5)

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菊池風磨side

自分の乗るタクシーが見えなくなるまで見送る彼女が徐々に小さくなって行く。

「風磨君」

恥ずかしがりながら小さく呼ぶ声が頭に響く。

やべーなと思った。

タクシーの窓枠に肘をつき口元を手で覆いながら目を瞑った。

目の裏に今日の彼女の様子が映し出される。

夕方時間ができたので採寸の予約をとった。

彼女と会うのは2度目だ。
楽屋を含めれば3度目だけど。

前回は外で会ったということもあり、ひたすらソワソワしていたが、仕事の話になるとかなり切り替えが良いのか、丁寧に説明してくれた。

あの日俺もカマをかけてみたが、口を割る気はなさそうだった。
ただ正直、いやもうこれファンじゃんと笑いたくなるくらいバレバレだったけど。

採寸ではまじで分かりやすい反応をすると中島から聞いていたし、
今日そのへんの守り崩せねーかなーなどと考えながら俺は店に向かった。

が。

え？ぜんっぜん普通じゃね？

めっちゃテキパキ仕事してるんですけど。

照れるのは中島だけかよ、と拗ねたくなるほど彼女の仕事はスムーズだった。
いや仕事が早いのは素晴らしいのでとやかく言えないのだけれど。

ただ俺が中島の名前を出したら、
急に彼女の様子がおかしくなったので俺は話を聞くことにした。