交錯する線 part 2 【Kento】 (ページ1)

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意を決して口を開く。

「気になってるって言われました」

「え、まじで？Aちゃんのこと？」
こくりと頷く。

「まじかぁー。それで？中島は他なんか言ってんの？」

「話したいから誘いを受けてほしいようなことを言われて」

「うん」

「お茶したいってことなんだと思うんですけど。
実は私と菊池さんがこの前カフェ行ってたの知ってて」

「え、ガチ？」

「はい。菊池さんが話したんじゃないんですか？」

「いや話してねーわ。
あーもしかしたら見られたのかもな。
あのあとマネージャーに、あんな目立つとこで女子と会うなって言われたから。」

「え！そうだったんですね、すみません。
やっぱり私が意地でも止めておけば！」

「いやいや、あれは俺が誘ったから気にすんな。
だからそれはまぁいいや。」それで？と続きを促してくる。

「えっと、それでそういうことも知られてしまったので、断るのもうまくできなくて。
考えさせてほしいとその場はそれで終わりました」

「なるほどな。
ぶっちゃけAちゃんはどうしたいの？てか中島のことどう思ってる？」

「どう…？」

そうだ。私は本当はどうしたいのだろう。

考えながらぽつりぽつりと話す。

「初めはからかってるのかとも思ってたんです。
でもこの前の感じだとそうでもなくて。
真剣に言ってくれてるのが分かるから、私も話してみたいとは思いました。
でもアイドルだからやっぱり簡単に外で会えないじゃないですか」

今まで誰にも言わなかったし、
自分でさえも認めてこなかった本音がこぼれる。

「じゃあそれそのまま中島に言ったら？
会う場所とかはなんとかなるっしょ。
で？中島のことはどう思ってんの？」

「素敵な人だなと思って「はいはい、そういう模範解答みたいなのいいから」

手をひらひら振りながらめんどくさそうに遮る。

「ここまで話して隠すのなしでしょ」

どこまで本音を引き出す気なのだろうかと彼の目を見る。

「え、意味わかんない？好きなのかってことよ」

痺れを切らし言う。
簡単なことだろと言わんばかりだ。

「わかんないです」

「え？え？わかんない？自覚なしってこと？」

「会うと…どきどきはします。
気になってるんだとは思います。」

自分の気持ちなのに他人のことのように話してしまう。

この気持ちを認めるのは流石に怖い。
まだ引き返せると自分に言い聞かせられる位置に私はいたかった。